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社会保険・給与 | 公開 2026.10.16

役員の被保険者資格取得届の書き方|資格取得日(役員報酬の支払い開始日)、報酬月額の欄(役員報酬+通勤手当などの現物)、標準報酬月額の決まり方、70歳以上の扱い、マイナンバーか基礎年金番号、被扶養者届との同時提出、提出期限5日以内、提出後の通知

役員の被保険者資格取得届の書き方|資格取得日(役員報酬の支払い開始日)、報酬月額の欄(役員報酬+通勤手当などの現物)、標準報酬月額の決まり方、70歳以上の扱い、マイナンバーか基礎年金番号、被扶養者届との同時提出、提出期限5日以内、提出後の通知

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新規適用届が「会社の加入」なら、被保険者資格取得届は「人の加入」の届出です。

ひとり会社では、役員である自分自身の資格取得届を、会社として作って出します。

この記事では、役員の被保険者資格取得届の書き方を、資格取得日の決め方、報酬月額の欄と標準報酬月額、各欄の記入、70歳以上や他社でも加入している場合、提出期限と同時に出す書類、提出後の通知と月額変更届との関係の順に説明します。

根拠は、健康保険法・厚生年金保険法(被保険者の資格取得、標準報酬月額の決定)、日本年金機構(被保険者資格取得届の様式と記入例、標準報酬月額の等級表、70歳以上被用者の取扱い、二以上事業所勤務)で、2026年10月16日時点の内容を確認しています。

筆者はひとり会社で自分の資格取得届を作成し、新規適用届と一緒に提出しました。

記事のポイント
  • 役員の資格取得届は、役員報酬の支払いを始めた日を資格取得日として、5日以内に年金事務所へ出す。報酬月額の欄には役員報酬の月額(通貨)と、社宅や通勤定期などの現物給与があればその額を書き、合計が標準報酬月額の等級に当てはめられる
  • 記入するのは、氏名・生年月日・性別・住所、個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号、資格取得日、報酬月額、被扶養者の有無、取得区分。新規適用届と一緒に出す場合は事業所整理記号は空欄でよく、配偶者を扶養に入れるなら被扶養者(異動)届も同時に出す
  • 70歳以上の役員は厚生年金の被保険者にはならず、健康保険のみ加入して「70歳以上被用者該当届」を兼ねた届出になる。他社でも社会保険に入っている役員は「二以上事業所勤務届」を本人が出し、報酬を合算した標準報酬月額を各社で按分する

資格取得日の決め方と、提出期限

資格取得日を、役員報酬の支払いを始めた日が取得日・就任日ではなく報酬の発生日・取得日から5日以内に提出の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 資格取得日:役員報酬の支払いを始めた日(報酬が発生する最初の日。多くは支払い開始月の初日、または報酬を決議した日)。役員に就任した日ではない。無報酬の役員は被保険者にならないので、報酬ゼロの期間は資格取得しない
  • 期限:資格取得日から5日以内。新規適用届と同時なら、新規適用届の適用年月日と資格取得日を合わせる
  • 遅れた場合:さかのぼって資格取得日を記載し、その月からの保険料をまとめて納める。期限を過ぎても受理されるが、保険証の発行が遅れ、さかのぼった保険料が一度にかかる

資格取得日:役員報酬の支払いを始めた日(報酬が発生する最初の日。多くは支払い開始月の初日、または報酬を決議した日)。役員に就任した日ではない。無報酬の役員は被保険者にならないので、報酬ゼロの期間は資格取得しない

役員の社会保険の資格は、報酬を受けて会社の業務に従事する状態になったときに発生します。

設立日に就任していても、役員報酬がゼロの間は被保険者になりません。

役員報酬の支払いを始めた月の初日(または報酬を決めた社員総会の日)を資格取得日にするのが一般的で、新規適用届の適用年月日と同じ日にします。

期限:資格取得日から5日以内。新規適用届と同時なら、新規適用届の適用年月日と資格取得日を合わせる

資格取得届の期限は、資格取得日から5日以内です。

設立直後に出す場合は、新規適用届と一緒に出し、2つの届出の日付をそろえます。

遅れた場合:さかのぼって資格取得日を記載し、その月からの保険料をまとめて納める。期限を過ぎても受理されるが、保険証の発行が遅れ、さかのぼった保険料が一度にかかる

役員報酬を払い始めてから何か月もたって届け出る場合、資格取得日は実際に報酬を払い始めた日にさかのぼります。

その月からの保険料が一度にかかり、本人負担分も天引きで精算する必要があるので、早く出すほど負担は軽くなります。

報酬月額の欄と、標準報酬月額の決まり方

報酬月額と標準報酬月額を、通貨は役員報酬の月額・現物は社宅や通勤定期の額・合計を等級表に当てはめて標準報酬月額の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 報酬月額(通貨によるものの額):役員報酬の月額(税引前・社会保険料控除前の額)。月によって変わらない定期同額給与の額。通勤手当を現金で払うならそれも含める
  • 報酬月額(現物によるものの額):社宅(役員社宅で賃料相当額が都道府県ごとの現物給与の価額を下回る場合の差額)、通勤定期券の現物支給、食事の提供などを、都道府県別の価額で換算した額。なければ0
  • 標準報酬月額:通貨+現物の合計を、健康保険(1〜50等級、5.8万円〜139万円)と厚生年金(1〜32等級、8.8万円〜65万円)の等級表に当てはめる。報酬月額25万円なら、健康保険20等級(26万円)・厚生年金17等級(26万円)。報酬月額の欄に書くのは実際の額で、等級は年金事務所が決める

報酬月額(通貨によるものの額):役員報酬の月額(税引前・社会保険料控除前の額)。月によって変わらない定期同額給与の額。通勤手当を現金で払うならそれも含める

報酬月額の「通貨によるものの額」には、役員報酬の月額を税引前の総額で書きます。

社会保険料や所得税を引く前の額です。

通勤手当を現金で払っている場合は、税法上は非課税でも社会保険では報酬に含まれるので、合算します。

報酬月額(現物によるものの額):社宅(役員社宅で賃料相当額が都道府県ごとの現物給与の価額を下回る場合の差額)、通勤定期券の現物支給、食事の提供などを、都道府県別の価額で換算した額。なければ0

「現物によるものの額」は、お金以外で受ける利益を、厚生労働省が定める都道府県別の現物給与の価額で換算した額です。

役員社宅を会社が借りて役員に貸している場合、本人が払う賃料相当額が、都道府県別の住宅の価額(畳1畳あたりの月額×畳数)を下回っていれば、その差額が現物給与になります。

通勤定期券を現物で渡している場合も、その額を含めます。該当がなければ0です。

標準報酬月額:通貨+現物の合計を、健康保険(1〜50等級、5.8万円〜139万円)と厚生年金(1〜32等級、8.8万円〜65万円)の等級表に当てはめる。報酬月額25万円なら、健康保険20等級(26万円)・厚生年金17等級(26万円)。報酬月額の欄に書くのは実際の額で、等級は年金事務所が決める

届出に書くのは実際の報酬月額で、標準報酬月額(保険料の計算に使う区切りの額)は、年金事務所が等級表に当てはめて決定します。

報酬月額25万円なら、25万円以上27万円未満の等級で、標準報酬月額26万円です。

厚生年金は上限が65万円(32等級)で、役員報酬が高くてもそれ以上は増えません。

各欄の記入と、70歳以上・二以上事業所の場合

資格取得届の各欄を、氏名と生年月日と住所とマイナンバーか基礎年金番号・取得区分と被扶養者の有無・70歳以上は健保のみで二以上事業所は本人が届出の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 本人の情報:被保険者整理番号(新規は空欄)、氏名(フリガナ)、生年月日、性別、種別(男女・坑内員の区分)、住所(住民票の住所)、個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号(マイナンバーを書けば基礎年金番号は不要。住所もマイナンバーで確認できる場合は省略可)
  • 取得の情報:取得区分(健保・厚年の両方に該当なら「健保・厚年」)、資格取得年月日、報酬月額(通貨・現物・合計)、被扶養者の有無(配偶者や子を扶養に入れるなら「有」にして被扶養者届を添付)、備考(70歳以上被用者、二以上事業所勤務、短時間労働者などの該当にチェック)
  • 70歳以上の役員:厚生年金の被保険者にはならない(保険料なし)が、在職老齢年金の調整のために「70歳以上被用者該当届」が必要で、資格取得届の様式を兼ねている。健康保険は75歳まで加入。二以上事業所勤務(他社でも社保加入)の役員:本人が「二以上事業所勤務届」を出し、報酬を合算して按分

本人の情報:被保険者整理番号(新規は空欄)、氏名(フリガナ)、生年月日、性別、種別(男女・坑内員の区分)、住所(住民票の住所)、個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号(マイナンバーを書けば基礎年金番号は不要。住所もマイナンバーで確認できる場合は省略可)

被保険者整理番号は、会社の中での通し番号で、年金事務所が付けるので新規の届出では空欄です。

氏名と生年月日は、住民票やマイナンバーカードの記載どおりに書きます。

個人番号(マイナンバー)を書けば、基礎年金番号の記入は不要で、住所もマイナンバーで確認できるため省略できる場合があります(日本年金機構の案内に従います)。

取得の情報:取得区分(健保・厚年の両方に該当なら「健保・厚年」)、資格取得年月日、報酬月額(通貨・現物・合計)、被扶養者の有無(配偶者や子を扶養に入れるなら「有」にして被扶養者届を添付)、備考(70歳以上被用者、二以上事業所勤務、短時間労働者などの該当にチェック)

取得区分は、70歳未満の役員なら健康保険と厚生年金の両方です。

被扶養者の有無で「有」にした場合は、被扶養者(異動)届を同時に出します。配偶者を扶養に入れると、配偶者は国民年金の第3号被保険者になり、国民年金保険料の負担がなくなります。

70歳以上の役員:厚生年金の被保険者にはならない(保険料なし)が、在職老齢年金の調整のために「70歳以上被用者該当届」が必要で、資格取得届の様式を兼ねている。健康保険は75歳まで加入。二以上事業所勤務(他社でも社保加入)の役員:本人が「二以上事業所勤務届」を出し、報酬を合算して按分

70歳以上の役員は、厚生年金の被保険者にはならず、厚生年金保険料はかかりません。

ただし、報酬を受けていると在職老齢年金(年金の支給停止)の対象になるため、「70歳以上被用者該当届」を出す必要があり、資格取得届の様式でその旨にチェックして出します。健康保険は75歳(後期高齢者医療に移るまで)まで加入します。

本業の会社でも社会保険に入っていて、ひとり会社でも役員報酬を受ける人は、両方で被保険者になり、本人が「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を出して、報酬を合算した標準報酬月額を各社の報酬の割合で按分した保険料を払います。

同時に出す書類、提出後の通知、月額変更届との関係

提出と提出後を、新規適用届と被扶養者届と同時提出・標準報酬決定通知書と保険証が届く・役員報酬を変えたら月額変更届の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 同時に出す:新規適用届(設立時)、被扶養者(異動)届(配偶者・子の扶養。国民年金第3号被保険者関係届を兼ねる。収入の確認書類を添付)、保険料口座振替納付申出書(口座振替にする場合)
  • 提出後:被保険者資格取得確認および標準報酬決定通知書(標準報酬月額と被保険者整理番号が記載)、健康保険証または資格確認書(マイナ保険証の利用者には資格情報のお知らせ)。保険料は資格取得月の分から翌月末に納付
  • 月額変更届との関係:資格取得後に役員報酬を変え、変更後3か月の平均が2等級以上変わったら、4か月目に「被保険者報酬月額変更届」を出す。毎年7月の算定基礎届で、4〜6月の報酬から9月以降の標準報酬月額が決め直される

同時に出す:新規適用届(設立時)、被扶養者(異動)届(配偶者・子の扶養。国民年金第3号被保険者関係届を兼ねる。収入の確認書類を添付)、保険料口座振替納付申出書(口座振替にする場合)

設立時は、新規適用届と資格取得届を同時に出します。

配偶者や子を扶養に入れるなら、被扶養者(異動)届を同時に出し、配偶者の収入を確認できる書類(課税証明書、雇用保険の離職票、退職証明書など)を添えます。配偶者が国民年金の第3号被保険者になる手続きも、この届出で同時に行われます。

提出後:被保険者資格取得確認および標準報酬決定通知書(標準報酬月額と被保険者整理番号が記載)、健康保険証または資格確認書(マイナ保険証の利用者には資格情報のお知らせ)。保険料は資格取得月の分から翌月末に納付

提出から2〜3週間で、標準報酬月額と被保険者整理番号が記載された決定通知書が届きます。

標準報酬月額に保険料率(協会けんぽの都道府県別の健康保険料率、厚生年金18.3%)を掛けた額が月の保険料で、会社と本人で折半します。

健康保険証(またはマイナ保険証の資格情報のお知らせ)も届き、それまでは国民健康保険の資格が残っているので、届いたら国民健康保険と国民年金の脱退の手続きを市町村で行います。

月額変更届との関係:資格取得後に役員報酬を変え、変更後3か月の平均が2等級以上変わったら、4か月目に「被保険者報酬月額変更届」を出す。毎年7月の算定基礎届で、4〜6月の報酬から9月以降の標準報酬月額が決め直される

資格取得時の標準報酬月額は、その後の算定基礎届(毎年7月)か月額変更届で見直されるまで続きます。

役員報酬を期首に変更して、変更後3か月の平均が従来の等級と2等級以上違えば、4か月目に月額変更届を出します。

役員の資格取得届の記入項目一覧

欄 記入内容(役員の例) 注意点
被保険者整理番号 空欄(年金事務所が付番) 2人目以降は通し番号
氏名・フリガナ・生年月日・性別 住民票どおり —
個人番号または基礎年金番号 マイナンバー12桁 マイナンバーを書けば基礎年金番号は不要
住所 住民票の住所 マイナンバーで確認できれば省略可の場合あり
取得区分 健保・厚年(70歳未満) 70歳以上は健保のみ+70歳以上被用者
資格取得年月日 役員報酬の支払いを始めた日 就任日ではない
報酬月額(通貨) 役員報酬の月額(税引前) 通勤手当の現金支給を含む
報酬月額(現物) 社宅・通勤定期などの換算額、なければ0 都道府県別の価額で換算
被扶養者 有・無 有なら被扶養者(異動)届を添付
備考 70歳以上被用者、二以上事業所勤務などの該当 該当がなければ空欄
提出期限 資格取得日から5日以内 新規適用届と同時提出
ユイユイ

資格取得届の「資格取得日」は、会社の設立日ですか?

ケイケイ

違う。役員報酬の支払いを始めた日。設立しても報酬がゼロの間は被保険者にならない。報酬を決めた日か、支払いを始めた月の初日を書いて、新規適用届の適用日とそろえる。

ユイユイ

報酬月額の欄には、手取りを書きますか?

ケイケイ

税引前・社会保険料控除前の総額。役員報酬25万円なら25万円。通勤手当を現金で払っていればそれも足す。等級への当てはめは年金事務所がやるから、実際の額を書けばいい。

よくある質問

役員の資格取得日はいつですか?

役員報酬の支払いを始めた日(支払い開始月の初日、または報酬を決議した日)です。

役員に就任した日や会社の設立日ではなく、報酬がゼロの間は被保険者になりません。

報酬月額には何を書きますか?

役員報酬の月額(税引前の総額)を通貨の欄に、社宅や通勤定期などの現物給与があればその換算額を現物の欄に書きます。

標準報酬月額は自分で決めますか?

決めません。

届け出た報酬月額を、年金事務所が等級表に当てはめて決定し、通知書で知らせます。

マイナンバーと基礎年金番号、どちらを書きますか?

マイナンバーを書けば、基礎年金番号は不要です。

70歳以上の役員はどうなりますか?

厚生年金の被保険者にはならず保険料もかかりませんが、70歳以上被用者としての届出が必要で、健康保険は75歳まで加入します。

提出後に役員報酬を変えたら?

変更後3か月の平均が2等級以上変われば、4か月目に月額変更届を出します。

毎年7月の算定基礎届でも見直されます。

まとめ:次の一手

役員の資格取得届は、役員報酬の支払いを始めた日を資格取得日として、報酬月額(通貨は役員報酬の総額、現物は社宅などの換算額)、氏名・生年月日・住所・マイナンバー、被扶養者の有無を記入し、5日以内に新規適用届や被扶養者届と一緒に年金事務所へ出します。

標準報酬月額は年金事務所が等級表で決め、70歳以上は健康保険のみ、他社でも加入している場合は二以上事業所勤務届が必要で、提出後は決定通知書と保険証が届き、報酬を変えたら月額変更届で見直します。

次の一手は、役員報酬の月額と支払い開始日を確定し、マイナンバーカードを手元に用意して、日本年金機構のサイトから資格取得届(と必要なら被扶養者届)の様式を取得することです。

役員報酬を月5万円にした場合の社会保険料は、あわせて読みたい記事で確認してください。