社会保険に加入すると、毎月、保険料の納付が始まります。
「いつ、いくら、どうやって納めるか」を押さえておかないと、納め忘れで督促状が届いたり、仕訳を間違えたりします。
この記事では、社会保険料の納付期限、4つの納付方法と口座振替の申込み、遅れたときの扱い、金額の確認方法、会社負担と本人負担の仕訳、納付額が変わるタイミングの順に説明します。
根拠は、健康保険法・厚生年金保険法(保険料の納付義務と納期限、延滞金)、日本年金機構(保険料の納付方法、口座振替、Pay-easy、延滞金の計算)、協会けんぽ(保険料率)で、2026年10月16日時点の内容を確認しています。延滞金の率は年により変わります。
筆者はひとり会社の社会保険料を口座振替で納め、毎月の納入告知書で金額を確認しています。
- 社会保険料は、前月分を毎月末日までに納める(4月分の保険料は5月末日まで)。会社負担分と本人負担分の合計を会社がまとめて納め、本人負担分は当月の役員報酬から天引きして預かる。源泉所得税のような年2回の納期の特例はなく、毎月納付
- 納付方法は、納入告知書で金融機関の窓口、口座振替(申出書を年金事務所に出せば毎月末日に自動引落し)、Pay-easy(納入告知書の番号でネットバンキング・ATM)、e-Gov連携の電子納付の4つ。ひとり会社は口座振替にしておけば、納め忘れがなく、納入告知書の確認だけで済む
- 遅れると督促状が届き、指定期限までに納めないと延滞金(納期限の翌日から年率約2.4〜8.7%程度)がかかり、最終的には滞納処分(差押え)もある。金額は納入告知書と標準報酬決定通知書で確認し、仕訳は会社負担分を法定福利費、本人負担分を預り金で処理する
納付の期限と仕組み
- 期限:毎月末日(土日祝なら翌営業日)。納めるのは前月分の保険料(4月分を5月末日に、12月分を1月末日に)
- 仕組み:会社が、会社負担分と本人負担分の合計を納める。本人負担分は、前月分の保険料を当月の役員報酬から天引き(翌月控除)して会社が預かり、納付に充てる
- 納期の特例はない:源泉所得税は従業員10人未満なら年2回にまとめられるが、社会保険料にその制度はなく、毎月納付。住民税の特別徴収も年2回の特例があるが、社会保険料は対象外
期限:毎月末日(土日祝なら翌営業日)。納めるのは前月分の保険料(4月分を5月末日に、12月分を1月末日に)
社会保険料の納付期限は、毎月の末日です。
その月に納めるのは、前月分の保険料です。4月分の保険料は5月31日まで、12月分は1月31日までです。
末日が土日祝なら、翌営業日が期限になります。
仕組み:会社が、会社負担分と本人負担分の合計を納める。本人負担分は、前月分の保険料を当月の役員報酬から天引き(翌月控除)して会社が預かり、納付に充てる
保険料は、会社負担分と本人負担分を合わせて、会社が納めます。
本人負担分は、役員報酬から天引きして会社が預かります。原則は「前月分の保険料を当月の給与から控除」(翌月控除)で、4月分の本人負担を5月の役員報酬から引き、会社負担分と合わせて5月末に納めます。
納期の特例はない:源泉所得税は従業員10人未満なら年2回にまとめられるが、社会保険料にその制度はなく、毎月納付。住民税の特別徴収も年2回の特例があるが、社会保険料は対象外
源泉所得税の納期の特例(年2回)や、住民税の特別徴収の納期の特例(年2回)のような制度は、社会保険料にはありません。
ひとり会社でも、毎月末日に納めます。
毎月の手間を減らすには、口座振替にします。
4つの納付方法と、口座振替の申込み手順
- 方法1 納入告知書:毎月20日ごろに年金事務所から届く納入告知書(納付書)を、金融機関の窓口に持参して納める。コンビニは不可(金額や取扱いの制限)。手間がかかるので、ひとり会社では一時的な利用向け
- 方法2 口座振替:「健康保険 厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」に法人口座を記入し、金融機関の確認印をもらって年金事務所に提出(金融機関経由でも可)。手続き完了まで1〜2か月で、以後、毎月末日に自動引落し。納入告知書の代わりに「口座振替額通知書」が届く
- 方法3 Pay-easy・方法4 電子納付:納入告知書に印字された収納機関番号・納付番号・確認番号を使って、ネットバンキングやATMのPay-easyで納付。e-Govで電子申請をしている場合は、e-Govの電子納付でも可。口座振替の手続き中や、一時的に振替できなかった月の納付に使う
方法1 納入告知書:毎月20日ごろに年金事務所から届く納入告知書(納付書)を、金融機関の窓口に持参して納める。コンビニは不可(金額や取扱いの制限)。手間がかかるので、ひとり会社では一時的な利用向け
新規適用の直後は、納入告知書で納めます。
毎月20日前後に届く納入告知書を持って、金融機関の窓口で納めます。コンビニでは納められません。
毎月窓口に行く手間がかかるので、早めに口座振替に切り替えます。
方法2 口座振替:「健康保険 厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」に法人口座を記入し、金融機関の確認印をもらって年金事務所に提出(金融機関経由でも可)。手続き完了まで1〜2か月で、以後、毎月末日に自動引落し。納入告知書の代わりに「口座振替額通知書」が届く
口座振替の申出書は、日本年金機構のサイトからダウンロードし、法人口座の情報を記入して、金融機関の窓口で確認印をもらい、年金事務所に提出します(金融機関が年金事務所に送ってくれる場合もあります)。
新規適用届と同時に出すこともできます。
手続きが完了するまで1〜2か月は納入告知書で納め、完了後は毎月末日に自動で引き落とされます。引落し額は、月初に届く「口座振替額通知書」で確認します。
方法3 Pay-easy・方法4 電子納付:納入告知書に印字された収納機関番号・納付番号・確認番号を使って、ネットバンキングやATMのPay-easyで納付。e-Govで電子申請をしている場合は、e-Govの電子納付でも可。口座振替の手続き中や、一時的に振替できなかった月の納付に使う
納入告知書には、Pay-easy(ペイジー)用の番号が印字されています。
ネットバンキングのPay-easyの画面か、Pay-easy対応のATMで、その番号を入力して納められ、窓口に行かずに済みます。
e-Govの電子申請を使っている場合は、e-Govからの電子納付も選べます。口座振替の手続き中や、残高不足で振替できなかった月に使います。
納付が遅れたときの扱い
- 督促:納期限を過ぎると、年金事務所から督促状が届く。督促状の指定期限(発行から10日程度)までに納めれば、延滞金はかからない(督促状の指定期限内の納付は延滞金免除)
- 延滞金:指定期限を過ぎると、本来の納期限の翌日から納付日までの日数で延滞金がかかる。納期限の翌日から3か月は年約2.4%、以後は年約8.7%(年により変動。国税の延滞税と同水準)
- 滞納処分:督促にも応じないと、財産調査と差押え(預金、売掛金)の対象になる。資金繰りが苦しい場合は、放置せずに年金事務所に相談し、分割納付(納付の猶予)を申し出る
督促:納期限を過ぎると、年金事務所から督促状が届く。督促状の指定期限(発行から10日程度)までに納めれば、延滞金はかからない(督促状の指定期限内の納付は延滞金免除)
納期限までに納められなかった場合、まず督促状が届きます。
督促状には指定期限(発行から10日程度)が書かれており、その期限までに納めれば延滞金はかかりません。
口座振替が残高不足でできなかった場合も、督促状が届くので、指定期限までにPay-easyや窓口で納めます。
延滞金:指定期限を過ぎると、本来の納期限の翌日から納付日までの日数で延滞金がかかる。納期限の翌日から3か月は年約2.4%、以後は年約8.7%(年により変動。国税の延滞税と同水準)
督促状の指定期限も過ぎると、延滞金がかかります。
延滞金は、本来の納期限の翌日からさかのぼって計算され、納期限の翌日から3か月までは低い率、3か月を超えると高い率です。
社会保険料は月数十万円になることもあるので、延滞金も無視できない額になります。
滞納処分:督促にも応じないと、財産調査と差押え(預金、売掛金)の対象になる。資金繰りが苦しい場合は、放置せずに年金事務所に相談し、分割納付(納付の猶予)を申し出る
督促を無視して滞納を続けると、年金事務所は財産調査を行い、法人口座の預金や売掛金を差し押さえることができます。
資金繰りで納められないときは、年金事務所に早めに相談すれば、分割納付や納付の猶予(一定の要件で延滞金の一部免除)が認められることがあります。
金額の確認、仕訳、納付額が変わるタイミング
- 金額の確認:納入告知書(口座振替なら口座振替額通知書)に、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・子ども・子育て支援金の内訳と合計が記載。内訳の元は、標準報酬決定通知書の標準報酬月額×協会けんぽの料率表。会計ソフトの給与計算で出した本人負担分×2がほぼ一致するかを確認
- 仕訳:納付時に「法定福利費(会社負担分)/普通預金」と「預り金(本人負担分)/普通預金」。給与支払時に本人負担分を「役員報酬/預り金」で天引き。決算では、決算月分の保険料(翌月末納付)の会社負担分を未払費用に計上
- 変わるタイミング:算定基礎届(7月提出)で決まった標準報酬月額は9月分(10月末納付)から。協会けんぽの料率改定は3月分(4月末納付)から。役員報酬を変えて月額変更届を出した場合は、変更後4か月目から。40歳になった月から介護保険料が加わる
金額の確認:納入告知書(口座振替なら口座振替額通知書)に、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・子ども・子育て支援金の内訳と合計が記載。内訳の元は、標準報酬決定通知書の標準報酬月額×協会けんぽの料率表。会計ソフトの給与計算で出した本人負担分×2がほぼ一致するかを確認
毎月の納付額は、納入告知書(口座振替なら口座振替額通知書)に、健康保険料、介護保険料(40歳以上の被保険者がいる場合)、厚生年金保険料、子ども・子育て支援金の内訳で記載されています。
金額の元は、標準報酬月額に協会けんぽの料率を掛けたもので、会計ソフトの給与計算で出している本人負担分を2倍した額とほぼ一致します(端数処理で数円の差が出ることがあります)。
仕訳:納付時に「法定福利費(会社負担分)/普通預金」と「預り金(本人負担分)/普通預金」。給与支払時に本人負担分を「役員報酬/預り金」で天引き。決算では、決算月分の保険料(翌月末納付)の会社負担分を未払費用に計上
役員報酬を払うときに、本人負担分を「役員報酬○○/預り金○○」で天引きします。
月末の納付時に、「法定福利費(会社負担分)/普通預金」と「預り金(本人負担分)/普通預金」で処理します。
会計ソフトの給与計算と口座連携を使えば、この仕訳は自動で作られます。決算では、決算月分の保険料(翌月末に納付)の会社負担分を未払費用で計上します。
変わるタイミング:算定基礎届(7月提出)で決まった標準報酬月額は9月分(10月末納付)から。協会けんぽの料率改定は3月分(4月末納付)から。役員報酬を変えて月額変更届を出した場合は、変更後4か月目から。40歳になった月から介護保険料が加わる
納付額は、年に数回変わります。
毎年7月の算定基礎届で決まった新しい標準報酬月額は、9月分の保険料(10月末納付)から適用されます。
協会けんぽの健康保険料率と介護保険料率は毎年3月分(4月末納付)から改定され、役員報酬を変えて月額変更届を出した場合は変更後4か月目から変わります。
40歳の誕生日の前日が属する月から介護保険料が加わり、65歳の前日が属する月から介護保険料は健康保険から外れて年金からの天引きに移ります。
社会保険料の納付方法の比較
| 方法 | 手順 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 納入告知書(窓口) | 毎月届く納付書を金融機関の窓口へ | 新規適用の直後、口座振替の手続き中 | コンビニ不可、毎月の手間 |
| 口座振替 | 申出書を年金事務所へ(金融機関の確認印)。1〜2か月で開始 | ひとり会社の定常運用 | 残高不足に注意(振替できないと督促状) |
| Pay-easy | 納入告知書の番号でネットバンキング・ATM | 振替できなかった月、急ぎの納付 | 納入告知書が必要 |
| 電子納付(e-Gov) | e-Govの電子申請と連携して納付 | e-Govで届出をしている会社 | e-Govのアカウントが必要 |
ユイ社会保険料は、いつ、どうやって納めるんですか?
ケイ前月分を毎月末日までに。会社負担と本人負担の合計を会社が納める。ひとり会社なら口座振替の申出書を出しておけば、毎月末に自動で引き落とされて、月初に届く通知書で金額を確認するだけ。
ユイ源泉所得税みたいに、年2回にまとめられませんか?
ケイ社会保険料に納期の特例はない。毎月納付。だから口座振替が基本。残高不足で振替できないと督促状が来るから、サブ口座に毎月の保険料分を入れておこう。
よくある質問
社会保険料の納付期限はいつですか?
毎月末日で、前月分の保険料を納めます。
4月分は5月末日、12月分は1月末日です。
納付方法は何がありますか?
納入告知書で金融機関の窓口、口座振替、Pay-easy、e-Govの電子納付の4つです。
ひとり会社は口座振替が基本です。
口座振替はどう申し込みますか?
保険料口座振替納付(変更)申出書に法人口座を記入し、金融機関の確認印をもらって年金事務所に提出します。
1〜2か月で振替が始まります。
年2回にまとめて納められますか?
納められません。
源泉所得税の納期の特例のような制度は社会保険料にはなく、毎月納付です。
納付が遅れたらどうなりますか?
督促状が届き、その指定期限までに納めれば延滞金はかかりません。
指定期限を過ぎると、納期限の翌日からの延滞金がかかり、放置すると差押えの対象になります。
納付額はいつ変わりますか?
算定基礎届の結果は9月分から、協会けんぽの料率改定は3月分から、月額変更届は変更後4か月目から、40歳になると介護保険料が加わります。
まとめ:次の一手
社会保険料は、前月分を毎月末日までに、会社負担と本人負担の合計を会社が納め、年2回にまとめる特例はないので、口座振替にして月初の通知書で金額を確認する運用が基本です。
遅れたら督促状の指定期限内に納めれば延滞金はかからず、仕訳は会社負担分を法定福利費、本人負担分を預り金で処理し、納付額は算定基礎届(9月分から)と料率改定(3月分から)で変わります。
次の一手は、口座振替の申出書を日本年金機構のサイトから取り、法人口座の金融機関で確認印をもらって年金事務所に提出し、毎月の保険料分をサブ口座に積み立てる仕組みを作ることです。
算定基礎届の電子申請の方法は、あわせて読みたい記事で確認してください。
