小さな会社の手続きを、自分でやる人の入門サイト

設立・開業 | 公開 2026.10.16

マイクロ法人の決算月はいつがおすすめ?設立月の前月で免税期間を最大に、個人の確定申告と重ねない、繁忙期を避ける。決め方と変更の手続き

マイクロ法人の決算月はいつがおすすめ?設立月の前月で免税期間を最大に、個人の確定申告と重ねない、繁忙期を避ける。決め方と変更の手続き

※本記事には、アフィリエイトリンク(PR)を含みます。

会社の決算月は、定款で自由に決められます。

「なんとなく3月」にする人が多いのですが、マイクロ法人や個人事業との二刀流では、決算月の選び方で、消費税の免税期間の長さと、申告作業の集中具合が変わります。

この記事では、マイクロ法人の決算月の決め方を、3つの考え方、決算月ごとの申告期限、役員報酬や均等割との関係、3月決算の実態、あとから変える手続きの順に説明します。

根拠は国税庁(消費税の納税義務の免除、法人税の申告期限、事業年度の変更の届出)と会社法で、2026年10月16日時点の内容を確認しています。

筆者はひとり会社の代表と個人事業主を兼ね、法人と個人の申告時期をずらして運用しています。

記事のポイント
  • 決算月は自由に決められる。マイクロ法人で重視するのは、「1期目を長くして消費税の免税期間を最大にする(設立月の前月を決算月にする)」「個人の確定申告(2〜3月)と法人の申告(決算月の2か月後)を重ねない」「繁忙期を避ける」の3つ
  • 設立月の前月を決算月にすると1期目が約12か月になり、設立1期・2期の免税を最長で使える。4〜7月設立なら、3〜6月決算になり、法人の申告は5〜8月で個人の確定申告と重ならない
  • 3月決算は大企業や官公庁に合わせた慣習で、ひとり会社には関係ない。決算月はあとから定款変更と異動届出書で変えられ、登記は不要

考え方1:設立月の前月にして、1期目と免税期間を最大にする

決算月の考え方1を、1期目は設立日から決算月末まで・設立月の前月なら1期目が約12か月・設立1期と2期の免税を最長で使えるの3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 1期目は設立日から最初の決算月末まで(1年以内)
  • 設立月の前月を決算月にすると、1期目が約12か月になる
  • 消費税の免税は設立1期・2期なので、1期目が長いほど免税期間が長い

1期目は設立日から最初の決算月末まで(1年以内)

事業年度は1年以内で、設立1期目は設立日から最初の決算月の末日までです。

4月10日に設立して3月決算なら、1期目は4月10日から翌年3月31日までの約12か月です。

4月10日に設立して5月決算にすると、1期目は5月31日までの約1か月半で終わってしまいます。

設立月の前月を決算月にすると、1期目が約12か月になる

設立月の前月を決算月にすると、1期目が最も長く(約12か月)なります。

4月設立なら3月決算、7月設立なら6月決算、10月設立なら9月決算です。

消費税の免税は設立1期・2期なので、1期目が長いほど免税期間が長い

資本金1,000万円未満の法人は、設立1期目と2期目は原則として消費税が免税です(特定期間の売上と給与が1,000万円を超える場合を除く)。

1期目が12か月なら、免税期間は合計で約24か月、1期目が1か月半なら約13か月半です。

インボイス登録をしない事業(消費者向けや、免税事業者向けの取引)では、この差が納税額の差になります。

考え方2:個人の確定申告と法人の申告を重ねない

決算月の考え方2を、法人の申告期限は決算月の2か月後・個人の確定申告は2〜3月・法人の決算月を4〜9月にすると重ならないの3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 法人の申告・納付は決算月の2か月後
  • 個人事業の確定申告は2〜3月(消費税は3月末)
  • 法人の決算月を4〜9月にすると、申告作業が分散する

法人の申告・納付は決算月の2か月後

法人税・地方税・消費税の申告と納付は、事業年度終了の翌日から2か月以内です。

3月決算なら5月末、12月決算なら2月末が期限です。

個人事業の確定申告は2〜3月(消費税は3月末)

二刀流の人は、2月16日から3月15日に個人の所得税の確定申告、課税事業者なら3月31日までに消費税の申告があります。

さらに1月には、法人の法定調書合計表・給与支払報告書・償却資産申告書の提出もあります。

法人の決算月を4〜9月にすると、申告作業が分散する

法人を12月決算にすると、1月の法定調書、2月末の法人の申告、3月の個人の確定申告が、1〜3月に集中します。

3月決算でも、5月末の法人の申告と3月の個人の確定申告が近く、決算整理の時期(4月)が個人の確定申告の直後になります。

法人の決算月を4月から9月にすると、法人の申告期限は6月から11月になり、1〜3月の作業と分かれます。

考え方1と合わせると、「4〜10月に設立して、その前月を決算月にする」が、両方を満たす組み合わせです。

考え方3:繁忙期・役員報酬の改定・均等割との関係

決算月の考え方3を、売上や作業の繁忙期を避ける・役員報酬の改定は期首から3か月以内・設立1期目の均等割は月割の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 繁忙期を避ける:決算月と、その翌月〜翌々月の作業時期
  • 役員報酬の改定時期:期首から3か月以内が決算月で決まる
  • 均等割の月割:設立1期目が短いと、その分だけ安い

繁忙期を避ける:決算月と、その翌月〜翌々月の作業時期

決算月の末日時点の在庫や売掛金を確定し、翌月から翌々月に申告書を作る作業があります。

事業の繁忙期(年末商戦、年度末の納品など)と重なると、決算作業が後回しになります。

繁忙期の2〜3か月後に申告期限が来る決算月を避けるか、逆に、閑散期に決算作業ができる決算月にします。

役員報酬の改定時期:期首から3か月以内が決算月で決まる

役員報酬を変えられるのは、期首から3か月以内です。

3月決算なら4〜6月、9月決算なら10〜12月に、前期の決算を見て役員報酬を決め直します。

決算月を決めると、毎年の役員報酬の見直し時期も決まります。

均等割の月割:設立1期目が短いと、その分だけ安い

法人住民税の均等割は、事業年度の月数で月割されます。

設立1期目が1か月半なら、均等割はその分だけ安くなります(約7万円×2/12)が、免税期間が短くなるデメリットのほうが大きいことが多いです。

均等割の節約を理由に1期目を短くする必要はありません。

3月決算の実態と、あとから決算月を変える手続き

決算月の変更を、3月決算は慣習でひとり会社には関係ない・変更は定款変更と税務署などへの異動届出書・登記は不要の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 3月決算が多いのは、官公庁や大企業の年度に合わせた慣習
  • 決算月の変更:社員の同意で定款変更→税務署・都道府県・市町村に異動届出書
  • 変更の年は事業年度が短くなり、申告が1回増える。登記は不要

3月決算が多いのは、官公庁や大企業の年度に合わせた慣習

日本の会社に3月決算が多いのは、官公庁の会計年度や、取引先の大企業の決算に合わせた慣習です。

ひとり会社やマイクロ法人には、この理由は当てはまりません。

税理士の繁忙期(3月決算の会社が集中する4〜5月)を避けるために、3月以外にする会社もあります。

決算月の変更:社員の同意で定款変更→税務署・都道府県・市町村に異動届出書

決算月をあとから変えるには、株主総会(合同会社は社員の同意)で定款の事業年度の条文を変更します。

そのうえで、税務署に「異動届出書」(事業年度の変更)を、定款の写しを添えて出し、都道府県税事務所と市町村にも異動の届出をします。

事業年度は登記事項ではないので、法務局への登記は不要です。

変更の年は事業年度が短くなり、申告が1回増える。登記は不要

たとえば3月決算から9月決算に変えると、変更の年は4月1日から9月30日までの6か月の事業年度になり、その分の申告が発生します。

均等割はその期は月割で半分です。

変更は年に何度もするものではないので、設立時にしっかり決めておくのがいちばんです。

設立月ごとのおすすめ決算月と申告期限(考え方1+2)

設立月 おすすめの決算月(前月) 1期目の長さ 法人の申告期限 個人の確定申告との重なり
4月 3月 約12か月 5月末 少ない(4月の決算整理が3月の直後)
5月 4月 約12か月 6月末 なし
6月 5月 約12か月 7月末 なし
7月 6月 約12か月 8月末 なし
8月 7月 約12か月 9月末 なし
9月 8月 約12か月 10月末 なし
10月 9月 約12か月 11月末 なし
11月 10月 約12か月 12月末 少ない(1月の法定調書の直前)
12月 11月 約12か月 1月末 重なる(1月の法定調書と同時)
1月 12月 約12か月 2月末 重なる(2〜3月の確定申告と同時)
2月 1月 約12か月 3月末 重なる(確定申告と同時)
3月 2月 約12か月 4月末 やや重なる(確定申告の直後)
ユイユイ

決算月って、3月にしておけばいいんですよね?

ケイケイ

決まりはない。マイクロ法人なら、設立月の前月にして1期目を長くするのが基本。個人の確定申告と重ねたくないなら、決算月を4〜9月にする。4〜10月に設立して前月を決算月にすれば両方満たせる。

ユイユイ

あとから変えられますか?

ケイケイ

変えられる。定款を変更して、税務署と都道府県・市町村に異動届出書を出すだけで、登記は要らない。ただし変更の年は事業年度が短くなって申告が1回増えるから、最初に決めるのがいちばん。

よくある質問

マイクロ法人の決算月は、いつがおすすめですか?

設立月の前月にして1期目を約12か月にし、消費税の免税期間を最大にするのが基本です。

個人の確定申告と重ねたくないなら、決算月を4〜9月にします。

なぜ設立月の前月がよいのですか?

1期目が最も長くなり、設立1期・2期の消費税の免税期間が最長の約24か月になるためです。

3月決算にする必要はありますか?

ありません。

3月決算は官公庁や大企業に合わせた慣習で、ひとり会社には関係ありません。

決算月で、役員報酬の改定時期は変わりますか?

変わります。

役員報酬の改定は期首から3か月以内なので、決算月の翌月から3か月が、毎年の見直し時期になります。

決算月はあとから変えられますか?

変えられます。

定款の事業年度を変更し、税務署・都道府県・市町村に異動届出書を出します。登記は不要ですが、変更の年は事業年度が短くなります。

12月決算のデメリットは何ですか?

法人の申告期限(2月末)が、1月の法定調書と2〜3月の個人の確定申告と重なり、作業が集中することです。

まとめ:次の一手

マイクロ法人の決算月は、設立月の前月にして1期目と免税期間を最大にし、個人の確定申告(2〜3月)と法人の申告(決算月の2か月後)が重ならない4〜9月を選び、繁忙期を避けるのが基本です。

3月決算にする理由はなく、あとから変える場合は定款変更と異動届出書で済みますが、変更の年は申告が1回増えます。

次の一手は、設立予定の月から上の表で決算月を決め、定款の事業年度の条文に書くことです。

決算と申告の期限の詳細は、あわせて読みたい記事で確認してください。