古物商許可の申請書は、警察のサイトからダウンロードできる数枚の様式です。
ただ、「その1(ア)」「その2」「その4」という枝番や、「主として取り扱おうとする古物の区分」「管理者」といった欄は、初めてだと手が止まります。
この記事では、個人で申請する場合の申請書の書き方を、欄ごとに記入例つきで説明します。
略歴書と誓約書の書き方、提出前のチェックもまとめます。
根拠は古物営業法施行規則の別記様式第1号と警視庁の申請案内で、2026年10月15日時点の内容を確認しています。都道府県警によって様式の配布方法や記載例は少し違います。
筆者は古物商許可を、行政書士に頼まず、自分で申請書を書いて警察署に提出し、取得しました。
- 個人の申請書は「その1(ア)」「その2」「その4」の3枚。その1は本人の情報と取り扱う古物の区分、その2は営業所と管理者、その4はインターネットで取引するURL
- 「主として取り扱おうとする古物の区分」は13品目から1つだけ○を付ける。古着なら02 衣類。ほかに扱う品目は「取り扱う古物の区分」で複数○
- 略歴書は最近5年間の経歴を空白期間なく書く。誓約書は欠格事由に当てはまらないことを確認して署名する
申請書の構成:その1・その2・その4の役割
- その1(ア):申請者本人の情報
- その2:営業所と管理者
- その4:インターネットで取引するURL
その1(ア):申請者本人の情報
申請書の1枚目「別記様式第1号 その1(ア)」には、申請者本人の情報を書きます。
個人で申請する場合はこの(ア)を使い、法人で役員が複数いる場合は役員ごとの(イ)を追加します。
書く内容は、氏名、フリガナ、生年月日、住所、電話番号、そして「主として取り扱おうとする古物の区分」です。
その2:営業所と管理者
2枚目「その2」には、営業所の情報と、営業所ごとに置く「管理者」の情報を書きます。
営業所の名称、所在地、取り扱う古物の区分、管理者の氏名・住所・生年月日などです。
ひとりで営業するなら、管理者は申請者本人で、同じ情報をもう一度書く形になります。
営業所が複数ある場合は、2か所目以降を「その3」に書きます。ひとりで自宅営業なら不要です。
その4:インターネットで取引するURL
3枚目「その4」は、インターネットを使って古物の取引をするかどうかと、使う場合のURLを書く様式です。
自分のネットショップやサイトで販売するなら「用いる」を選び、URLを1文字ずつ活字体で書きます。
警視庁の案内では、英字は活字体で書き、誤読されやすい文字にはふりがなを付けるとされています。ワープロで印字した別紙を添付する場合、ふりがなは不要です。
メルカリやヤフオクなど他社のプラットフォームだけで取引する場合は、「用いない」で差し支えないのが一般的な扱いですが、警察署によって確認されることがあるので、提出前に聞いておきます。
その1(ア)の書き方:記入例
- 氏名・住所・生年月日
- 「主として取り扱おうとする古物の区分」
- 提出日・宛先・署名
氏名・住所・生年月日
氏名と住所は、添付する住民票の写しと一字一句合わせます。
「1丁目2番3号」のような表記も、住民票のとおりに書きます。
生年月日は和暦で書き、該当する元号の数字を○で囲みます。
電話番号は、警察署から連絡が来る番号なので、日中つながる携帯番号が無難です。
「主として取り扱おうとする古物の区分」
この欄は、13品目の中から、主に扱う品目を1つだけ選んで○を付けます。
様式の注記にも「いずれか1つに○を付けること」とあります。
古着を中心に扱うなら「02 衣類」、ブランドバッグや財布なら「11 皮革・ゴム製品類」、中古本なら「12 書籍」です。
ここで選んだ区分が、許可証と標識に「衣類商」のように表示されます。
ほかにも扱う品目がある場合は、その2の「取り扱う古物の区分」で複数に○を付けます。あとから品目を増やすときは変更届が必要なので、扱う可能性のある品目は最初に入れておくと手間が減ります。
提出日・宛先・署名
上部の提出日は、警察署に持参する日を書きます。空欄にしておいて、窓口で記入しても構いません。
宛先は「○○県公安委員会 殿」です。警視庁なら「東京都公安委員会 殿」になります。
申請者の氏名は、署名すれば押印は不要です(警視庁の案内による)。
記入例を表にまとめます。
| 欄 | 記入例(個人・古着販売) |
|---|---|
| 宛先 | 東京都公安委員会 殿(申請先の都道府県) |
| 氏名・フリガナ | 住民票どおりの氏名 |
| 生年月日 | 元号に○、年月日を記入 |
| 住所 | 住民票どおりの住所 |
| 電話番号 | 日中つながる番号 |
| 行商をしようとする者であるかどうか | 「する」に○(出張買取やイベント出店をする可能性があるなら) |
| 主として取り扱おうとする古物の区分 | 02 衣類に○ |
| 申請者の署名 | 署名(押印不要) |
その2の書き方:営業所と管理者
- 営業所の名称と所在地
- 取り扱う古物の区分(複数に○)
- 管理者の欄
営業所の名称と所在地
営業所の「名称」は、屋号があれば屋号、なければ氏名でも構いません。
「所在地」は、自宅を営業所にするなら自宅の住所です。
自宅が賃貸の場合、契約で事業利用が認められているかを警察署が確認することがあります。
バーチャルオフィスの住所は、実体のある営業所と認められないことが多く、古物商の営業所には原則として使えません。
取り扱う古物の区分(複数に○)
その1で選んだ「主として取り扱う区分」に加えて、その営業所で扱うすべての区分に○を付けます。
古着のほかに、バッグや靴も売るなら、02 衣類と11 皮革・ゴム製品類の両方に○です。
ゲーム機や家電を扱うなら「10 道具類」や「09 機械工具類」も入ります。
迷う品目は、警察署の窓口で「これはどの区分ですか」と聞けば教えてくれます。
管理者の欄
管理者は、営業所ごとに1人置く、業務の責任者です(古物営業法第13条)。
ひとりで営業するなら、申請者本人を管理者にします。
氏名、住所、生年月日、電話番号を、その1と同じ内容で書きます。
管理者にも略歴書・誓約書・住民票・身分証明書が必要ですが、本人が兼ねる場合は、本人の分を1組出せば足ります。
略歴書・誓約書の書き方と提出前のチェック
- 略歴書:最近5年間を空白なく
- 誓約書:欠格事由を確認して署名
- 提出前のチェックリスト
略歴書:最近5年間を空白なく
略歴書には、最近5年間の経歴を書きます。
会社員、個人事業、アルバイト、学生、無職の期間を、年月を区切って並べます。
「無職」の期間も省かずに書くのがポイントで、空白があると窓口で聞かれます。
5年より前は書かなくて構いませんが、現在に至るまでを「現在に至る」で締めます。
筆者は、会社員の期間と、個人事業を始めてからの期間を2行で書き、「現在に至る」で終えました。
誓約書:欠格事由を確認して署名
誓約書は、古物営業法第4条の欠格事由(破産して復権していない、一定の前科がある、暴力団関係者である、住所が定まらない、など)に当てはまらないことを誓う書面です。
本文は印刷されているので、内容を読んで当てはまらないことを確認し、日付と氏名を書いて署名します。
管理者用の誓約書は、第13条の欠格事由(未成年など)に対応した別の様式です。本人が管理者を兼ねる場合、警察署によっては両方の提出を求められます。
提出前のチェックリスト
提出前に、次の点を確認します。
住民票は本籍入りで、個人番号なし。身分証明書は本籍地の市区町村が発行したもの。
申請書の氏名・住所が住民票と完全に一致している。
主として取り扱う区分は1つだけ、取り扱う区分は該当するすべてに○。
略歴書に空白期間がない。誓約書に署名した。
URLを書く場合は、使用権限を示す資料(ドメイン登録情報の画面など)を用意した。
手数料19,000円を用意した。
個人申請で使う様式と添付書類の一覧
| 書類 | 入手先 | 内容 |
|---|---|---|
| 許可申請書 その1(ア) | 都道府県警のサイト | 本人の情報、主として取り扱う区分 |
| 許可申請書 その2 | 同上 | 営業所と管理者 |
| 許可申請書 その4 | 同上 | インターネット取引の有無とURL |
| 略歴書(本人・管理者) | 同上 | 最近5年間の経歴 |
| 誓約書(本人・管理者) | 同上 | 欠格事由に該当しない誓い |
| 住民票の写し(本籍入り) | 市区町村 | 個人番号は不要 |
| 身分証明書 | 本籍地の市区町村 | 破産者等でないことの証明 |
| URLの使用権限を疎明する資料 | 自分で用意 | ネット販売する場合のみ |
ユイ「主として取り扱おうとする古物の区分」って、全部に○を付けてはだめなんですか?
ケイそこは1つだけ。主に扱う品目に○を付ける。ほかに扱う品目は、その2の「取り扱う古物の区分」で複数に○を付ければいい。
ユイ管理者って、別の人を立てないといけないんですか?
ケイ自分でいい。ひとりで営業するなら、申請者本人が管理者を兼ねる。その2に自分の情報をもう一度書くだけだよ。
よくある質問
申請書はどこで手に入りますか?
各都道府県警のサイトからPDFをダウンロードできます。
警察署の窓口でも受け取れます。
「主として取り扱おうとする古物の区分」は、いくつ選べますか?
1つだけです。
ほかに扱う区分は、その2の「取り扱う古物の区分」に複数○を付けます。
管理者は自分でもよいですか?
よいです。
ひとりで営業する場合は、申請者本人が管理者を兼ねるのが普通です。
略歴書には何年分を書きますか?
最近5年間です。
無職や学生の期間も省かず、空白がないように書きます。
申請書に押印は必要ですか?
警視庁の案内では、署名すれば押印は不要です。
都道府県警によって扱いが違うことがあるので、記載例を確認してください。
メルカリだけで売る場合、その4はどう書きますか?
他社のプラットフォームだけなら「用いない」で差し支えないのが一般的な扱いです。
ただし警察署によって確認されることがあるので、提出前に電話で聞いておくと確実です。
まとめ:次の一手
古物商許可申請書は、本人の情報と主な取扱区分を書く「その1(ア)」、営業所と管理者を書く「その2」、URLを書く「その4」の3枚です。
主として取り扱う区分は1つだけ、取り扱う区分は該当するすべてに○を付け、管理者は本人で構いません。
略歴書は5年間を空白なく、誓約書は欠格事由を確認して署名します。
次の一手は、都道府県警のサイトから様式と記載例をダウンロードし、住民票を手元に置いて、その1から順に書くことです。
申請から許可までの全体の流れは、古物商許可の取り方の記事で確認してください。
