中古品を仕入れて売る商売を始めるなら、先に「古物商許可」が要ります。
メルカリやヤフオクで古着を仕入れて売る、せどりで中古本やゲームを扱う、中古車や中古パソコンを売る。どれも対象です。
「警察署に申請」と聞くと身構えますが、書類をそろえて窓口に出すだけで、行政書士に頼まなくても自分で取れます。
この記事では、筆者が個人で自分で申請して許可を取った流れをもとに、必要書類、費用、期間、許可後にやることを順番に説明します。
根拠は古物営業法と同法施行規則、警視庁の案内ページで、2026年10月15日時点の内容を確認しています。
筆者は古着の販売を行っており、古物商許可は行政書士に頼まず、自分で警察署に申請して取得しました。
- 古物商許可は、営業所を管轄する警察署に申請する。手数料は19,000円で、行政書士に頼まなくても自分で取れる
- 個人の必要書類は、許可申請書・略歴書・誓約書・本籍入りの住民票・身分証明書(本籍地の市区町村で取る)・ネット販売ならURLの疎明資料
- 許可が下りたら終わりではない。標識の掲示、URLの届出、変更があったときの届出が義務になる
古物商許可とは:どんなときに必要か
- 古物の13品目
- 許可が要る取引、要らない取引
- 無許可で営業した場合
古物の13品目
古物とは、一度使われた物品や、使われていなくても取引された物品、そしてそれらに手入れをした物のことです。
古物営業法施行規則では、古物を13の品目に分けています。
美術品類、衣類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車及び原動機付自転車、自転車類、写真機類、事務機器類、機械工具類、道具類、皮革・ゴム製品類、書籍、金券類の13品目です。
申請のときは、主に扱う品目を1つ選び、ほかに扱う品目にも印を付けます。
古着なら「衣類」、ブランドバッグなら「皮革・ゴム製品類」、ゲーム機や家電なら「道具類」や「機械工具類」になります。
許可が要る取引、要らない取引
許可が要るのは、古物を「売買」「交換」する商売や、「委託を受けて」売買・交換する商売です。
仕入れて売るなら、ネット販売でも店舗でも許可が要ります。
一方で、自分で使っていた物を売るだけなら、許可は要りません。
無償でもらった物を売る場合や、自分が売った相手から買い戻す場合も、古物営業にあたらないとされています。
迷いやすいのは「メルカリで買って、メルカリで売る」ような転売です。これは営利目的で反復して行えば古物営業にあたり、許可が必要です。
無許可で営業した場合
許可を取らずに古物営業をすると、古物営業法の罰則の対象になります。
また、いちど無許可営業で罰金刑を受けると、その後5年間は許可を取れなくなります(法第4条)。
「取ってから始める」が、結局いちばん近道です。
必要書類:個人で申請するときにそろえるもの
- 警察署のサイトから取る書類
- 役所で取る書類
- ネット販売をするなら
警察署のサイトから取る書類
警視庁の案内によると、個人が申請するときの書類は次のとおりです。
まず「許可申請書」(古物営業法施行規則の別記様式第1号)です。
都道府県警のサイトからダウンロードでき、氏名、住所、営業所の名称と所在地、扱う品目、管理者などを書きます。
次に「略歴書」で、最近5年間の職歴を書きます。学生やアルバイト、無職の期間も省かずに書きます。
そして「誓約書」で、欠格事由(許可を受けられない事情)に当てはまらないことを誓う書面です。
略歴書と誓約書は、申請者本人の分と、営業所の「管理者」の分が必要です。ひとりで営業するなら、本人が管理者を兼ねるので、本人の分だけで済みます。
役所で取る書類
役所で取る書類は2つです。
1つ目は「本籍が記載された住民票の写し」です。個人番号(マイナンバー)の記載は不要で、本籍の記載が必要です。コンビニ交付でも、本籍を載せる設定にすれば取れます。
2つ目は「身分証明書」です。
これは運転免許証のことではなく、本籍地の市区町村が発行する「禁治産・準禁治産の宣告を受けていない、破産手続開始の決定を受けていない」ことの証明書です。
本籍地が遠い場合は郵送で請求します。筆者は、この書類の存在を知らずに一度出直したので、最初に取りに行くことをすすめます。
ネット販売をするなら
自分のサイトやネットショップで販売する場合は、「URLの使用権限があることを疎明する資料」が必要です。
ドメインの登録情報(Whois情報)の画面や、プロバイダやモールからの通知書など、そのURLを自分が使う権限があると分かるものを印刷します。
メルカリやヤフオクなど、他社のプラットフォームに出品するだけなら、この資料は原則不要です。
ただし扱いは都道府県警で違うことがあるので、申請前に管轄の警察署に電話で確認しておくと確実です。
申請の流れ:警察署に出してから許可証を受け取るまで
- 申請先は営業所を管轄する警察署
- 手数料19,000円と審査の期間
- 筆者が申請したときの流れ
申請先は営業所を管轄する警察署
申請先は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署の防犯係(生活安全課)です。
自宅を営業所にするなら、自宅の住所を管轄する警察署です。
住んでいる市内に複数の警察署がある場合は、都道府県警のサイトで管轄を確認します。
多くの警察署は事前予約制なので、電話をして日時を決めてから行きます。
手数料19,000円と審査の期間
手数料は19,000円で、申請時に警察署で納めます。
審査の期間は、警視庁の審査基準では標準処理期間が40日(行政機関の休日を除く)と定められています。
都道府県によって期間は違いますが、おおむね1か月半前後を見ておくと安心です。
許可が下りると警察署から連絡が来るので、許可証を受け取りに行きます。
筆者が申請したときの流れ
筆者の場合、流れは次のとおりでした。
まず警察署に電話して、必要書類と持ち物を確認し、提出の予約を取りました。
住民票と身分証明書を役所で取り、申請書・略歴書・誓約書は自宅で書きました。
予約の日に警察署へ行き、担当者が書類を1枚ずつ確認して、不足がなければその場で受理、手数料を納めて終わりです。
営業所の確認で、自宅の間取りや、商品をどこに保管するかを聞かれました。
あとは待つだけで、許可の連絡が来たら受け取りに行きました。
行政書士に頼むと数万円の報酬がかかりますが、書類は難しくないので、時間があれば自分で十分です。
許可後にやること:標識・URL届出・変更届
- 標識(プレート)を掲示する
- URLの届出とサイトでの表示
- 変更があったら届け出る
標識(プレート)を掲示する
古物営業法第12条で、営業所ごとに公衆の見やすい場所に「標識」を掲示することが義務づけられています。
標識は、施行規則で定められた様式(青地に白文字のプレートが一般的)で、許可証番号と氏名または名称を書きます。
自分で作ってもよく、防犯協会や業者に注文することもできます。
自宅が営業所なら、作業部屋や玄関の内側など、人が訪ねてきたときに見える場所に掲げます。
URLの届出とサイトでの表示
自分のサイトで販売する場合は、そのURLを警察署に届け出ます。
申請のときにURLを書いていなければ、あとから変更届で追加します。
さらに、法第12条第2項により、サイト上に「氏名または名称」「許可をした公安委員会の名称」「許可証番号」を表示する義務があります。
ネットショップの特定商取引法の表示ページなどに、まとめて載せておくと管理しやすいです。
変更があったら届け出る
住所、氏名、営業所の所在地、扱う品目、管理者、URLなどが変わったら、変更届を出します(法第7条)。
警視庁の案内では、営業所の名称や所在地を変えるときは変更の3日前までに、それ以外の事項は変更から14日以内(登記事項証明書の添付が必要な場合は20日以内)です。
法人化して個人から法人に切り替える場合は、法人として新しく許可を取り直す必要があります。
許可証に有効期限はなく、更新の手続きはありません。ただし、6か月以上営業しないと許可の取り消しの対象になります。
自分で申請する場合と行政書士に頼む場合の比較
| 項目 | 自分で申請 | 行政書士に依頼 |
|---|---|---|
| 費用 | 手数料19,000円+住民票・身分証明書の発行手数料 | 上記+報酬(数万円が相場) |
| 手間 | 役所と警察署に自分で行く(予約制) | 書類作成と提出を代行してもらえる |
| 期間 | 書類がそろえば即日受理。審査は同じ | 同じ(審査期間は変わらない) |
| 向いている人 | 時間があり、書類を書くのが苦でない人 | 法人申請や営業所が複数で書類が多い人 |
ユイメルカリで古着を仕入れて売りたいだけなんですが、本当に警察署に行くんですか?
ケイ行くよ。仕入れて売るなら古物営業だから、許可が要る。でも、やることは書類を出すだけ。怖い場所じゃないから安心して。
ユイ「身分証明書」は免許証でいいんですよね?
ケイそこが落とし穴。免許証じゃなくて、本籍地の市区町村が出す「身分証明書」という名前の証明書なんだ。先に取っておくと一度で済む。
よくある質問
古物商許可は、個人でも取れますか?
取れます。
個人事業主でも、副業の会社員でも、欠格事由に当てはまらなければ申請できます。
自宅を営業所にできますか?
できます。
ただし、賃貸の場合は、契約で事業利用が禁止されていないか確認します。警察署から使用承諾書を求められることがあります。
許可が下りるまで、どのくらいかかりますか?
警視庁の標準処理期間は40日(行政機関の休日を除く)です。
都道府県によって違うので、申請時に目安を聞いておくと安心です。
古物商許可に有効期限や更新はありますか?
有効期限はなく、更新の手続きもありません。
ただし、住所や品目などに変更があれば変更届が必要で、6か月以上営業を休むと取り消しの対象になります。
メルカリやヤフオクに出品するだけでも、URLの届出は必要ですか?
他社のプラットフォームに出品するだけなら、原則として不要です。
自分のサイトやネットショップのURLで販売する場合に届け出ます。扱いは警察署で確認してください。
法人化したら、許可はどうなりますか?
個人の許可を法人に引き継ぐことはできません。
法人として新しく許可を申請し、取得後に個人の許可証を返納します。
まとめ:次の一手
古物商許可は、営業所を管轄する警察署に、申請書・略歴書・誓約書・本籍入りの住民票・身分証明書(必要ならURLの疎明資料)をそろえて出し、手数料19,000円を納めれば、自分で取れます。
許可後は、標識の掲示、URLの届出とサイトでの表示、変更届が義務になります。
次の一手は、管轄の警察署に電話して、必要書類と予約の方法を確認することです。
そのあと、本籍地の市区町村で「身分証明書」を取るところから始めてください。
仕入れと販売の記録は、許可を取ったあとの帳簿づけにも直結します。会計ソフトを先に決めておくと、開業後がらくになります。
