古物商許可は、取ったら終わりではありません。
引っ越した、扱う品目を増やした、ネットショップを始めた、営業所を移した。こうした変更があるたびに、警察署に「変更届」を出す義務があります。
期限が「3日前まで」の事前届出と「14日以内」の事後届出に分かれていて、知らずに過ぎてしまう人が多い手続きです。
この記事では、古物商の変更届の出し方を、変更の種類ごとの期限、書換申請との違い、必要書類、よくある場面(引っ越し・品目追加・URL・法人成り)、出し忘れた場合の順に説明します。
根拠は古物営業法第7条・第5条と警視庁の「書換申請・変更届出」の案内で、2026年10月15日時点の内容を確認しています。都道府県警によって様式の配布方法が少し違います。
筆者は古物商許可を自分で取得し、変更の届出も自分で行っています。
- 営業所の名称・所在地を変えるときは「変更の3日前まで」に事前の届出。住所・氏名・品目・URL・管理者などの変更は「変更から14日以内」(登記事項証明書の添付が必要な場合は20日以内)
- 許可証に書かれている事項(氏名・住所・営業所など)が変わる場合は、変更届と同時に許可証の「書換申請」をして、新しい許可証を受け取る
- 届出先は主たる営業所を管轄する警察署。品目の追加やURLの届出も同じ変更届で、ネット販売を始めたときはURLの届出を忘れやすい
変更届の2つの期限:「3日前まで」と「14日以内」
- 事前届出(3日前まで):営業所の名称・所在地
- 事後届出(14日以内):住所・氏名・品目・URL・管理者など
- 登記事項証明書の添付が必要なら20日以内
事前届出(3日前まで):営業所の名称・所在地
古物営業法第7条第1項により、主たる営業所やその他の営業所の「名称」と「所在地」を変更するときは、変更しようとする日の3日前までに、あらかじめ届け出る必要があります。
自宅を営業所にしていて引っ越す場合、新しい自宅を営業所にするなら、引っ越しの3日前までに届出です。
営業所の所在地が別の都道府県に移る場合は、移転先の公安委員会に届け出ます。
事後届出(14日以内):住所・氏名・品目・URL・管理者など
営業所の名称・所在地以外の変更は、変更があった日から14日以内に届け出ます(第7条第2項)。
対象は、個人の氏名・住所、法人の名称・代表者・役員、取り扱う古物の区分、管理者、行商の有無、URLなどです。
警視庁の案内でも、「変更日から14日以内の届出」と「変更日の3日前までの届出」を分けて案内しています。
登記事項証明書の添付が必要なら20日以内
法人の名称、所在地、代表者、役員の変更など、登記事項証明書の添付が必要な変更は、変更から20日以内です。
登記の完了を待つ時間を考慮した期限です。
書換申請との違いと、必要書類
- 許可証の記載事項が変わる場合は「書換申請」も同時に
- 変更届だけでよい事項
- 必要書類の例
許可証の記載事項が変わる場合は「書換申請」も同時に
古物商許可証には、氏名(名称)、住所(所在地)、主たる営業所の名称・所在地などが書かれています。
これらが変わる場合は、変更届と合わせて「許可証の書換申請」をして、新しい内容の許可証を交付してもらいます(第7条第5項)。
書換申請には、手数料(1,500円)がかかります。
変更届だけでよい事項
許可証に書かれていない事項、たとえば取り扱う古物の区分の追加、管理者の変更、URLの追加・変更、行商の有無などは、変更届だけで済み、書換申請は不要です。
手数料もかかりません。
必要書類の例
変更届出書(別記様式第6号など、都道府県警の様式)が基本です。
変更の内容に応じて、次の書類を添えます。
| 変更の内容 | 添付書類の例 |
|---|---|
| 個人の住所・氏名 | 本籍入りの住民票の写し |
| 営業所の名称・所在地 | 新しい営業所の所在地が分かるもの(賃貸借契約書など、警察署による) |
| 管理者の変更 | 新しい管理者の略歴書・住民票・身分証明書・誓約書 |
| 取り扱う古物の区分の追加 | 原則なし |
| URLの追加・変更 | URLの使用権限を疎明する資料 |
| 法人の名称・所在地・代表者・役員 | 登記事項証明書、新役員の略歴書・住民票・身分証明書・誓約書 |
| 書換申請(許可証の記載事項の変更) | 古物商許可証(原本)、手数料1,500円 |
提出先は、主たる営業所を管轄する警察署の防犯係で、変更届の提出も事前予約が必要なことが多いです。
よくある場面:引っ越し・品目追加・ネット販売・法人成り
- 引っ越し:住所の変更(14日以内)と営業所の変更(3日前まで)の両方
- 品目の追加・ネット販売の開始(URL)
- 法人成り:変更届ではなく、法人で許可を取り直す
引っ越し:住所の変更(14日以内)と営業所の変更(3日前まで)の両方
自宅を営業所にしている人が引っ越す場合、「個人の住所の変更」(14日以内)と「営業所の所在地の変更」(3日前まで)の両方が発生します。
引っ越しの3日前までに営業所の変更を届け出て、引っ越し後に住民票を移してから、14日以内に住所の変更と書換申請をする、という2段階になります。
事前に警察署に相談して、まとめて処理できるか確認すると手間が減ります。
品目の追加・ネット販売の開始(URL)
古着に加えてバッグも扱うようになった場合、「取り扱う古物の区分」に11 皮革・ゴム製品類を追加する変更届を出します(14日以内)。
自分のネットショップで販売を始めた場合は、URLの届出が必要です(14日以内)。メルカリなど他社のプラットフォームだけなら不要が一般的ですが、警察署に確認します。
URLを届け出たら、サイト上に氏名(名称)、公安委員会名、許可証番号を表示する義務もあります。
法人成り:変更届ではなく、法人で許可を取り直す
個人で取った古物商許可は、法人に引き継げません。
法人成りしたら、法人として新たに許可を申請し、許可が下りたら個人の許可証を返納します。
これは「変更届」ではなく「新規申請」と「返納届」です。
出し忘れた場合と、変更届の実務のコツ
- 出し忘れたら、気づいた時点ですぐ届け出る
- 届出義務違反には罰則の規定
- 変更の前に警察署に電話する
出し忘れたら、気づいた時点ですぐ届け出る
期限を過ぎても、変更届は受け付けてもらえます。
遅れた理由を聞かれることはありますが、まず届け出ることが大切です。
長期間放置すると、許可証の記載と実態が違う状態が続き、許可の取り消しや指示の対象になることがあります。
届出義務違反には罰則の規定
古物営業法には、変更届を出さなかった場合や虚偽の届出をした場合の罰則(罰金)の規定があります。
また、営業所の所在地が許可証と違う状態で営業していると、「無許可営業」に近い扱いを受けるリスクもあります。
変更の前に警察署に電話する
変更届は、内容によって添付書類と期限が違い、都道府県警で様式も違います。
変更が決まった時点で、管轄の警察署の防犯係に電話し、「○○を変更したい。必要な書類と期限は」と聞くのが確実です。
引っ越しのように複数の変更が重なる場合ほど、事前の電話が効きます。
変更の種類と期限・書換の要否の一覧
| 変更の内容 | 期限 | 書換申請 | 主な添付書類 |
|---|---|---|---|
| 営業所の名称・所在地 | 変更の3日前まで(事前) | 必要(主たる営業所) | 所在地が分かるもの |
| 個人の氏名・住所 | 変更から14日以内 | 必要 | 本籍入りの住民票 |
| 法人の名称・所在地・代表者・役員 | 変更から20日以内 | 必要(名称・所在地・代表者) | 登記事項証明書など |
| 取り扱う古物の区分 | 変更から14日以内 | 主たる区分が変われば必要 | 原則なし |
| 管理者 | 変更から14日以内 | 不要 | 管理者の略歴書・住民票・身分証明書・誓約書 |
| URL(追加・変更・廃止) | 変更から14日以内 | 不要 | URLの使用権限の疎明資料 |
| 行商の有無 | 変更から14日以内 | 必要 | なし |
ユイ引っ越したんですが、古物商の許可は何かしないといけませんか?
ケイする。自宅が営業所なら、営業所の変更は引っ越しの3日前までに事前届出、住所の変更は14日以内。許可証の書換も要る。警察署に電話して、まとめて進めよう。
ユイメルカリに加えて自分のネットショップを始めました。
ケイURLの届出が要る。14日以内に変更届で届け出て、サイトに氏名・公安委員会名・許可証番号を表示する。
よくある質問
古物商の変更届は、いつまでに出しますか?
営業所の名称・所在地の変更は、変更の3日前までの事前届出です。
その他(住所・氏名・品目・URL・管理者など)は変更から14日以内、登記事項証明書が必要な場合は20日以内です。
変更届と書換申請は、何が違いますか?
変更届は変更の事実を届け出るもの、書換申請は許可証の記載を書き換えてもらうものです。
許可証に書かれている事項(氏名・住所・営業所など)が変わる場合は、両方を出します。書換申請には手数料1,500円がかかります。
扱う品目を増やすときは?
変更から14日以内に、取り扱う古物の区分の追加を変更届で届け出ます。
添付書類は原則不要です。
ネットショップを始めたら、届出は必要ですか?
自分のサイトのURLで販売する場合は、14日以内にURLの届出が必要です。
他社のプラットフォームのみなら不要が一般的ですが、警察署に確認します。
法人成りしたら、変更届で済みますか?
済みません。
法人として新たに許可を取り、個人の許可証を返納します。
出し忘れたら、どうなりますか?
期限後でも受け付けてもらえますが、罰則の規定があり、放置すると許可の取り消しや指示の対象になることがあります。
気づいたらすぐ届け出ます。
まとめ:次の一手
古物商の変更届は、営業所の名称・所在地の変更が「3日前まで」の事前届出、それ以外が「14日以内」(登記事項証明書が必要なら20日以内)で、許可証の記載事項が変わる場合は書換申請(手数料1,500円)も同時に行います。
引っ越しは住所と営業所の両方、ネット販売の開始はURLの届出、法人成りは許可の取り直しです。
次の一手は、変更が決まった時点で、管轄の警察署の防犯係に電話して、必要書類と期限を確認することです。
許可を取るまでの流れは、古物商許可の取り方の記事で確認してください。
