古物商の許可を取ったあと、最も実務で手間がかかり、最も罰則に直結するのが古物台帳の記載です。
盗品の流通を防ぐための義務なので、「誰から、何を、いくらで、どう本人確認して」買ったかを、決められた項目で記録し、3年間保存します。
この記事では、古物台帳の書き方を、記載が必要な取引、売却時の記載、記載項目、様式(紙とパソコン)、保存期間、ネット仕入れの本人確認、罰則、古着の記入例の順に説明します。
根拠は、古物営業法(16条の帳簿への記載義務、18条の保存、15条の本人確認)、古物営業法施行規則(記載事項、本人確認の方法、1万円未満の例外品目)、警察庁の古物営業法の解釈運用基準と各都道府県警察の案内で、2026年10月16日時点の内容を確認しています。
筆者は古物商の許可を自分で取り、古着の仕入れの台帳を自分で記載・保存しています。
- 古物台帳は、古物を買い受けたとき(1点または1組1万円以上。自動二輪・ゲームソフト・CD/DVD・書籍は1万円未満でも)に、年月日・品目・数量・特徴・相手の住所氏名年齢職業・本人確認の方法を記載する帳簿。売却時は、美術品や自動車など指定品目の1万円以上の取引だけ記載する
- 様式は、警察庁の様式に準じた紙の帳簿でも、パソコンの表計算ファイルでもよい(記載事項を満たし、求めに応じて直ちに印刷できること)。保存期間は最終の記載から3年間。記載や保存を怠ると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金と、営業停止の対象
- フリマアプリやオークションで仕入れる場合も、1万円以上なら相手の本人確認が必要で、非対面の方法(身分証の写しを送ってもらい、本人限定受取郵便で住所を確認するなど、古物営業法施行規則の方法のいずれか)で行い、確認の方法を台帳に書く。プラットフォーム上の取引でも、古物商としての義務は変わらない
記載が必要な取引と、売却時の記載
- 買受け時:古物を買い受け、交換し、または売却の委託を受けて引き取ったとき。1点または1組の対価(代金)が1万円以上なら記載が必要。1万円未満は原則不要
- 1万円未満でも必要な品目:自動二輪車・原動機付自転車(部品を含む)、ゲームソフト、CD・DVD・ブルーレイなどの記録媒体、書籍。盗品が多い品目として例外
- 売却時:原則として記載不要。例外として、美術品類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車・原付の1万円以上の売却は、相手の住所氏名などを記載。古着や雑貨の売却は記載不要
買受け時:古物を買い受け、交換し、または売却の委託を受けて引き取ったとき。1点または1組の対価(代金)が1万円以上なら記載が必要。1万円未満は原則不要
古物台帳への記載が必要なのは、古物を「受け取る」取引です。
買い受け(仕入れ)、交換、売却の委託を受けて預かる、の3つで、1点または1組(セットで取引するもの)の代金が1万円以上の場合です。
1万円未満の取引は、次の例外品目を除いて記載不要です。ただし、本人確認は1万円未満でも、相手が不審な場合などに求められることがあります。
1万円未満でも必要な品目:自動二輪車・原動機付自転車(部品を含む)、ゲームソフト、CD・DVD・ブルーレイなどの記録媒体、書籍。盗品が多い品目として例外
バイクとその部品、ゲームソフト、CD・DVDなどの記録媒体、書籍は、盗品が流通しやすい品目として、1万円未満でも記載と本人確認が必要です。
古本やゲームソフトを扱う場合は、金額にかかわらず全件記載します。
売却時:原則として記載不要。例外として、美術品類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車・原付の1万円以上の売却は、相手の住所氏名などを記載。古着や雑貨の売却は記載不要
売却(販売)のときは、原則として相手の記載は不要です。
例外は、美術品、時計・宝飾品、自動車、バイクで、1万円以上の売却なら相手の住所・氏名を記載します。
古着、雑貨、家電、書籍などの販売では、売却の相手を記載する必要はありません(品目と数量、年月日は、在庫管理のために記録する古物商も多いです)。
記載項目と、本人確認の方法
- 取引の情報:取引の年月日、取引の区分(買受け・交換・委託)、古物の品目(「衣類」「時計」など)と数量、古物の特徴(ブランド名、型番、製造番号、色、サイズ、素材、傷や汚れ、付属品。あとで同じ品と特定できる程度に具体的に)、代金
- 相手の情報:住所、氏名、年齢(または生年月日)、職業。法人から買う場合は法人名・所在地と担当者
- 本人確認の方法:対面なら、運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなどの提示を受けて、その種類と番号(免許証番号など)を記載。または、相手に住所・氏名・年齢・職業を記載した書面に署名してもらう。非対面(ネット)なら、施行規則の方法のいずれか(後述)
取引の情報:取引の年月日、取引の区分(買受け・交換・委託)、古物の品目(「衣類」「時計」など)と数量、古物の特徴(ブランド名、型番、製造番号、色、サイズ、素材、傷や汚れ、付属品。あとで同じ品と特定できる程度に具体的に)、代金
古物の「特徴」は、警察から盗品の照会があったときに、台帳の記載で同じ品かどうかを特定できる程度に書きます。
古着なら、ブランド名、品番(タグの番号)、色、サイズ、素材、目立つ傷や汚れ、付属品(ベルト、箱)です。
時計や電子機器なら、型番と製造番号(シリアルナンバー)が最も重要です。
相手の情報:住所、氏名、年齢(または生年月日)、職業。法人から買う場合は法人名・所在地と担当者
相手の住所・氏名・年齢・職業を、本人確認書類の記載どおりに書きます。
年齢は、生年月日を書いても構いません。職業は、相手の申告で「会社員」「主婦」などです。
法人から仕入れる場合は、法人名、所在地、担当者の氏名を書きます。
本人確認の方法:対面なら、運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなどの提示を受けて、その種類と番号(免許証番号など)を記載。または、相手に住所・氏名・年齢・職業を記載した書面に署名してもらう。非対面(ネット)なら、施行規則の方法のいずれか(後述)
対面の取引では、運転免許証などの身分証の提示を受け、その種類と番号を台帳に書きます。
身分証の提示の代わりに、相手に住所・氏名・年齢・職業を書いた書面に署名してもらう方法もあります(偽名の抑止として法律が認めている方法です)。
どの方法で確認したかを、台帳に記載します。
様式(紙とパソコン)、保存期間、罰則
- 様式:警察庁が示す古物台帳の様式(受入れの部・払出しの部)に準じた紙の帳簿を、防犯協会などから購入するか、自分で印刷。パソコンの表計算ファイルでもよく、記載事項をすべて含み、警察の求めに応じて直ちに印刷・表示できる状態なら、電磁的方法での記録として認められる
- 保存期間:最終の記載をした日から3年間、営業所に備え付けて保存。パソコンの場合は、バックアップを取り、3年間消さない。警察官の立入検査で提示を求められたら、直ちに見せられるように
- 罰則:帳簿を備え付けない、記載しない、虚偽の記載をする、保存しない→6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(古物営業法33条)。公安委員会の指示や営業停止(最長6か月)、繰り返せば許可の取消しも。本人確認を怠った場合も同じ罰則
様式:警察庁が示す古物台帳の様式(受入れの部・払出しの部)に準じた紙の帳簿を、防犯協会などから購入するか、自分で印刷。パソコンの表計算ファイルでもよく、記載事項をすべて含み、警察の求めに応じて直ちに印刷・表示できる状態なら、電磁的方法での記録として認められる
古物台帳の様式は、警察庁が示したものに準じれば、紙でもパソコンでも構いません。
紙の帳簿は、各地の防犯協会や古物商の組合で販売されており、自分で様式を印刷して綴じても使えます。
パソコンの表計算ファイルで、記載事項をすべて列にして入力し、求めに応じてすぐ印刷できる状態なら、電磁的な記録として認められます。
保存期間:最終の記載をした日から3年間、営業所に備え付けて保存。パソコンの場合は、バックアップを取り、3年間消さない。警察官の立入検査で提示を求められたら、直ちに見せられるように
台帳は、最後の記載から3年間、営業所に備え付けて保存します。
警察官は、営業時間中に営業所に立ち入って台帳の提示を求めることができ、見せられないと罰則の対象です。
パソコンで記録する場合は、クラウドやバックアップで3年間消えないようにし、営業所のパソコンですぐ表示できるようにします。
罰則:帳簿を備え付けない、記載しない、虚偽の記載をする、保存しない→6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(古物営業法33条)。公安委員会の指示や営業停止(最長6か月)、繰り返せば許可の取消しも。本人確認を怠った場合も同じ罰則
台帳の不備は、古物営業法の罰則の中でも重く、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
さらに、公安委員会から営業の指示や営業停止(最長6か月)の処分を受け、繰り返すと許可が取り消されます。
本人確認を怠った場合も同じ罰則で、「1万円以上なのに免許証を見なかった」は、それ自体が違反です。
ネット仕入れの本人確認と、古着の記入例
- ネット仕入れ(フリマ・オークション):1万円以上なら本人確認が必要。非対面の方法(古物営業法施行規則15条3項)のいずれか:1 相手から身分証の写しを送ってもらい、その住所に本人限定受取郵便で書類を送って到達を確認、2 身分証の写し+その住所への簡易書留などの送付と、相手の口座への代金の振込(本人名義の口座)、3 電子署名やマイナンバーカードのICチップの読み取り、4 住民票の写しなどの送付+その住所への本人限定受取郵便、など。プラットフォームの本人確認は、古物商の本人確認の代わりにはならない
- 実務:ネットで1万円以上の仕入れをする場合、相手に身分証の写しの提出と本人限定受取郵便の受取りを依頼する必要があり、応じてもらえないことが多い。1万円未満の仕入れに絞る、古物市場や事業者から仕入れる(事業者間の取引は確認方法が簡略化できる場合がある)、などで対応している古物商が多い
- 古着の記入例(1点1万円以上の買受け):2026年10月16日/買受け/衣類(ジャケット)/1点/○○(ブランド)、品番AB-1234、ネイビー、サイズM、ウール、左袖に小さなほつれ、付属品なし/代金15,000円/東京都○○区○○1-2-3/○○ ○○/35歳(生年月日)/会社員/運転免許証(第123456789012号)の提示
ネット仕入れ(フリマ・オークション):1万円以上なら本人確認が必要。非対面の方法(古物営業法施行規則15条3項)のいずれか:1 相手から身分証の写しを送ってもらい、その住所に本人限定受取郵便で書類を送って到達を確認、2 身分証の写し+その住所への簡易書留などの送付と、相手の口座への代金の振込(本人名義の口座)、3 電子署名やマイナンバーカードのICチップの読み取り、4 住民票の写しなどの送付+その住所への本人限定受取郵便、など。プラットフォームの本人確認は、古物商の本人確認の代わりにはならない
フリマアプリやオークションで個人から1万円以上の古物を仕入れる場合も、古物商としての本人確認が必要です。
非対面の確認方法は施行規則で定められており、身分証の写しを送ってもらったうえで、その住所に本人限定受取郵便を送って到達を確認する、などの方法です。
フリマアプリの運営会社が行っている本人確認は、古物商の確認の代わりにはなりません。
実務:ネットで1万円以上の仕入れをする場合、相手に身分証の写しの提出と本人限定受取郵便の受取りを依頼する必要があり、応じてもらえないことが多い。1万円未満の仕入れに絞る、古物市場や事業者から仕入れる(事業者間の取引は確認方法が簡略化できる場合がある)、などで対応している古物商が多い
実務上、フリマアプリの出品者に身分証の写しと郵便の受取りを依頼しても、応じてもらえないことがほとんどです。
そのため、ネットでの個人からの仕入れは1点1万円未満に絞る、1万円以上の品は古物市場や古物商の事業者から仕入れる(事業者間は許可証の確認などで対応できる)、という運用をしている古物商が多いです。
古着の記入例(1点1万円以上の買受け):2026年10月16日/買受け/衣類(ジャケット)/1点/○○(ブランド)、品番AB-1234、ネイビー、サイズM、ウール、左袖に小さなほつれ、付属品なし/代金15,000円/東京都○○区○○1-2-3/○○ ○○/35歳(生年月日)/会社員/運転免許証(第123456789012号)の提示
古着を1万円以上で個人から買い受けた場合の記入例です。
年月日、区分、品目と数量、特徴(ブランド・品番・色・サイズ・素材・状態・付属品)、代金、相手の住所・氏名・年齢・職業、本人確認の方法(身分証の種類と番号)を1行で記載します。
パソコンの表計算なら、これらを列にして1行ずつ入力します。
古物台帳の記載項目と記入例(受入れの部)
| 項目 | 記載する内容 | 古着の記入例 |
|---|---|---|
| 年月日 | 取引の日 | 2026年10月16日 |
| 区分 | 買受け・交換・委託 | 買受け |
| 品目 | 古物の種類 | 衣類(ジャケット) |
| 数量 | 点数・組数 | 1点 |
| 特徴 | ブランド・品番・製造番号・色・サイズ・素材・状態・付属品 | ○○、品番AB-1234、ネイビー、M、ウール、左袖にほつれ、付属品なし |
| 代金 | 対価の額 | 15,000円 |
| 相手の住所 | 身分証の住所 | 東京都○○区○○1-2-3 |
| 相手の氏名 | 身分証の氏名 | ○○ ○○ |
| 相手の年齢 | 年齢または生年月日 | 35歳 |
| 相手の職業 | 申告による | 会社員 |
| 本人確認の方法 | 身分証の種類と番号、または署名書面、非対面の方法 | 運転免許証(第123456789012号)の提示 |
ユイ古着を仕入れるたびに台帳を書くんですか? 1着500円のものもあるのに。
ケイ記載が必要なのは、1点または1組で1万円以上の買受け。500円の古着は不要(ゲームソフトや書籍は1万円未満でも必要)。1万円以上のときは、相手の身分証を見て、住所・氏名・年齢・職業と免許証番号まで書く。
ユイフリマアプリで仕入れたときは、相手の本人確認はどうすればいいですか?
ケイ1万円以上なら、身分証の写しを送ってもらって本人限定受取郵便で住所を確認する、などの非対面の方法が要る。アプリの本人確認は代わりにならない。現実には応じてもらえないことが多いから、ネットの個人仕入れは1万円未満に絞るか、古物市場や業者から仕入れる。
よくある質問
古物台帳はどんな取引で書きますか?
古物を買い受け・交換・委託で受け取ったときで、1点または1組1万円以上の場合です。
バイク、ゲームソフト、CD・DVD、書籍は1万円未満でも必要です。
売ったときも書きますか?
原則不要です。
美術品、時計・宝飾品、自動車、バイクの1万円以上の売却だけ、相手の住所氏名を記載します。
何を書きますか?
年月日、区分、品目と数量、特徴、代金、相手の住所・氏名・年齢・職業、本人確認の方法です。
パソコンで管理してもよいですか?
よいです。
記載事項をすべて含み、警察の求めに応じて直ちに印刷・表示できる状態なら、電磁的な記録として認められます。
保存期間はどのくらいですか?
最終の記載から3年間、営業所に備え付けて保存します。
書かないとどうなりますか?
6か月以下の懲役または30万円以下の罰金と、営業停止(最長6か月)の対象で、繰り返すと許可が取り消されます。
まとめ:次の一手
古物台帳は、1点または1組1万円以上の古物を買い受けたとき(バイク・ゲームソフト・記録媒体・書籍は金額にかかわらず)に、年月日・品目・数量・特徴・代金・相手の住所氏名年齢職業・本人確認の方法を記載し、紙かパソコンで最終記載から3年間保存する帳簿で、不備は懲役・罰金・営業停止の対象です。
ネットの個人仕入れでも1万円以上なら非対面の本人確認が必要で、実務では1万円未満に絞るか事業者から仕入れる運用が多く、売却時の記載は指定品目だけです。
次の一手は、表計算ソフトで上の記載項目を列にした台帳ファイルを作り、1万円以上の仕入れの際に相手の身分証を確認して記入する手順を決め、営業所のパソコンですぐ表示できる場所に保存することです。
営業所に掲示する古物商の標識(プレート)の作り方は、あわせて読みたい記事で確認してください。
