取引先から「インボイスの登録番号を教えてください」と言われて、登録申請を決めた個人事業主は多いはずです。
申請書は2枚組で、「屋号は書かない」「登録希望日は15日以降」など、知らないと書き直しになる約束ごとがあります。
この記事では、個人事業主のインボイス登録申請書の書き方を、記入例、提出先、e-Taxの手順、登録希望日、通知までの期間、登録番号の確認方法の順に説明します。
根拠は国税庁の「適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)」と申請書の様式・記載要領、インボイス制度のQ&Aで、2026年10月15日時点の内容を確認しています。
筆者は個人事業主としてインボイスの登録申請を自分で行い、法人でも消費税の手続きを自分で行っています。
- 登録申請書は2枚組。1枚目に氏名(屋号は書かない)・住所・事業者区分、2枚目(次葉)に免税事業者の確認と登録要件の確認を書く。添付書類はない
- 免税事業者が令和11年9月30日までに登録する場合は、提出日から15日以降の「登録希望日」を書く。通知が遅れても、その日にさかのぼって登録される
- 提出先は、納税地を所轄する税務署長宛てで、郵送は各国税局のインボイス登録センター、またはe-Tax。通知までの目安はe-Taxで約1か月、書面で約1.5か月
申請書の構成と、提出先・提出方法
- 申請書は2枚組(1枚目と次葉)
- 提出先:インボイス登録センターまたはe-Tax
- 通知までの期間と、登録番号の確認
申請書は2枚組(1枚目と次葉)
申請書の正式名称は「適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)」で、1枚目と「次葉」の2枚組です。
1枚目には、申請者の情報と事業者区分を書きます。
次葉には、免税事業者の確認欄と、すべての申請者が書く「登録要件の確認」欄があります。
添付書類はありません。
提出先:インボイス登録センターまたはe-Tax
宛先は、納税地を所轄する税務署長です。
書面で出す場合の郵送先は、税務署ではなく、各国税局の「インボイス登録センター」です。国税庁のサイトの「各局(所)インボイス登録センターのご案内」で、自分の地域の送付先を確認します。
e-Taxで出す場合は、e-Taxソフト(WEB版)やスマートフォン版から、マイナンバーカードで電子署名をして送信します。
通知までの期間と、登録番号の確認
国税庁の案内では、登録通知までの期間の目安は、e-Taxで約1か月、書面で約1.5か月です(繁忙期はこれより長くなることがあります)。
e-Taxで申請し、通知を電子データで受け取る設定にすると、e-Taxの通知書等一覧で確認でき、書面より早く届きます。
登録されると、「T」+13桁の登録番号が通知されます。個人事業主の番号はマイナンバーとは別の、新しい番号です。
登録後は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で、氏名と登録番号が公表されます。屋号や事務所の所在地を公表したい場合は、別途「公表事項の公表(変更)申出書」を出します。
1枚目の書き方:氏名・住所・事業者区分
- 氏名欄:屋号は書かない
- 住所・納税地・電話番号
- 事業者区分:課税事業者か免税事業者か
氏名欄:屋号は書かない
「氏名又は名称」の欄には、氏名だけを書きます。
国税庁の様式に「注:屋号ではありません」と明記されています。
屋号を公表サイトに載せたい場合は、申請書とは別に「公表(変更)申出書」を出します。
フリガナも書きます。
住所・納税地・電話番号
「住所又は居所」には、住民票の住所を書きます。
「納税地」は、確定申告書に書いている納税地(通常は住所)です。住所と同じなら「同上」で構いません。
電話番号は、税務署から確認の連絡が来ることがあるので、日中つながる番号にします。
事業者区分:課税事業者か免税事業者か
「事業者区分」は、「課税事業者」か「免税事業者」のどちらかに必ずチェックします。
前々年の課税売上高が1,000万円を超えていて、すでに消費税の申告をしているなら「課税事業者」です。
1,000万円以下で消費税の申告をしていないなら「免税事業者」です。免税事業者は、次葉の「免税事業者の確認」欄も書きます。
多くの個人事業主は、ここで「免税事業者」になります。
次葉の書き方:登録希望日と登録要件の確認
- 免税事業者の確認欄(令和11年9月30日までの特例)
- 登録希望日:提出日から15日以降の日
- 登録要件の確認:全員が記入
免税事業者の確認欄(令和11年9月30日までの特例)
免税事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日の属する課税期間に登録する場合は、「消費税課税事業者選択届出書」を出さなくても、登録申請書だけで登録日から課税事業者になれる経過措置があります。
次葉の「免税事業者の確認」欄で、この経過措置の適用を受ける旨にチェックし、個人番号(マイナンバー)、生年月日、事業内容、登録希望日を書きます。
登録希望日:提出日から15日以降の日
免税事業者は、「登録希望日」として、提出日から15日以降の、登録を受けたい日を書きます。
国税庁の案内では、通知がその日までに届かなくても、登録希望日にさかのぼって登録されたものとみなされます。
課税期間の初日(個人は1月1日)から登録したい場合は、前年の12月17日までに提出します(翌課税期間の初日から起算して15日前の日まで)。
取引先から求められた日に間に合うよう、余裕を持って出します。
登録要件の確認:全員が記入
「登録要件の確認」欄は、課税事業者も免税事業者も全員が書きます。
「課税事業者です」(免税事業者は、登録希望日から課税事業者になる旨)、「納税管理人を定める必要のない事業者です」、「消費税法に違反して罰金以上の刑に処せられたことはありません」の各項目に、該当するほうにチェックします。
記入例を表にまとめます。
| 欄 | 記入例(免税事業者の個人事業主) |
|---|---|
| 申請者の氏名 | 氏名のみ(屋号は書かない) |
| 住所・納税地 | 住民票の住所、納税地は「同上」 |
| 事業者区分 | 免税事業者 |
| 免税事業者の確認 | 経過措置の適用にチェック、個人番号、生年月日、事業内容 |
| 登録希望日 | 提出日から15日以降の希望日 |
| 登録要件の確認 | 各項目で「はい」にチェック |
| 添付書類 | なし |
登録後にやること:請求書の様式と、消費税の申告
- 請求書を適格請求書の様式にする
- 消費税の申告が必要になる
- 2割特例・3割特例を確認する
請求書を適格請求書の様式にする
登録番号が届いたら、請求書に、登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額を記載します。
会計ソフトや請求書ソフトのテンプレートは、インボイスの様式に対応しているので、登録番号を設定するだけで済みます。
消費税の申告が必要になる
登録日から課税事業者になるため、登録した年分から消費税の確定申告が必要です。
個人事業主の消費税の申告期限は、翌年3月31日です(所得税の3月15日とは別です)。
免税事業者だった人は、登録した年から、所得税と消費税の2つの申告をすることになります。
2割特例・3割特例を確認する
免税事業者から登録して課税事業者になった個人事業主は、令和8年分までは、売上にかかる消費税の2割を納めればよい「2割特例」が使えます。
令和8年度の税制改正で、令和9年分と令和10年分については「3割特例」が設けられました。
いずれも事前の届出は不要で、申告書にその旨を付記して適用します。詳しくは、2割特例の記事で説明しています。
ユイ取引先に登録番号を聞かれました。申請書に屋号を書いていいですか?
ケイ氏名欄には屋号を書かない。様式に「屋号ではありません」と注意書きがある。屋号を公表したいなら、別の申出書を出す。
ユイ免税事業者なんですが、いつから登録になりますか?
ケイ次葉に書く「登録希望日」から。提出日から15日以降の日を書けば、通知が遅れてもその日にさかのぼって登録される。
よくある質問
インボイスの登録申請書は、どこに出しますか?
納税地を所轄する税務署長宛てで、郵送先は各国税局のインボイス登録センターです。
e-Taxでも提出できます。
申請書に屋号は書きますか?
書きません。
氏名欄には氏名だけを書き、屋号を公表したい場合は「公表(変更)申出書」を別途出します。
免税事業者でも登録できますか?
できます。
令和11年9月30日までの課税期間に登録する場合は、課税事業者選択届出書なしで、登録希望日から課税事業者になります。
登録希望日は、いつにすればよいですか?
提出日から15日以降の日です。
取引先から求められている日に間に合うよう、余裕を持って提出します。
登録通知は、いつ届きますか?
目安はe-Taxで約1か月、書面で約1.5か月です。
登録希望日を書いていれば、通知が遅れてもその日にさかのぼって登録されます。
登録したら、消費税の申告は必要ですか?
必要です。
登録した年分から、翌年3月31日までに消費税の確定申告をします。2割特例(令和8年分まで)や3割特例(令和9年分・10年分)の対象かを確認します。
まとめ:次の一手
個人事業主のインボイス登録申請書は、1枚目に氏名(屋号は書かない)・住所・事業者区分、次葉に免税事業者の確認と登録希望日(提出日から15日以降)、登録要件の確認を書く2枚組で、添付書類はありません。
提出先はインボイス登録センターかe-Taxで、通知までe-Taxで約1か月、書面で約1.5か月が目安です。
次の一手は、国税庁のサイトから申請書のPDFを入手し、取引先が求める日から逆算して登録希望日を決めることです。
登録後の消費税の納税額を抑える2割特例・3割特例は、あわせて読みたい記事で確認してください。
