会社の利益が増えてくると、ある年から突然「中間申告」の納付書が届きます。
年1回の確定申告だけだと思っていた法人税を、年の途中でもう1回納めることになり、資金繰りに影響します。
この記事では、法人税の中間申告の対象になる条件、予定申告と仮決算の2つの方法と選び方、期限、申告書を出さなくても納付が必要な仕組み、地方税と消費税の中間申告との違い、資金繰りの備えを説明します。
根拠は国税庁(法人税の中間申告、予定申告、仮決算による中間申告、消費税の中間申告)、法人税法、地方税法で、2026年10月16日時点の内容を確認しています。
筆者はひとり会社で中間申告の対象になった年に、予定申告での納付とダイレクト納付を自分で行いました。
- 法人税の中間申告は、前期の法人税額(国税の法人税のみ)が20万円を超えた会社が対象。設立1期目と、前期が赤字や20万円以下なら不要。対象になると、事業年度開始から8か月目の末日までに、前期の法人税の半分を納める(予定申告)
- 予定申告は申告書を出さなくても出したものとみなされ、納付は必要。税務署から納付書(または通知)が届くので、ダイレクト納付かe-Taxで納める。業績が大きく落ちているなら、上半期を仮決算して実際の所得で中間税額を計算する方法に替えられる
- 法人住民税と事業税の中間申告も法人税に連動して必要になる。消費税の中間申告は別の基準(前期の消費税の年税額が48万円超)で、回数も年1回〜11回と違う。中間納付した分は確定申告で精算され、払いすぎなら還付される
中間申告の対象になる条件
- 条件:前期(前事業年度)の法人税額が20万円を超える。前期が12か月未満なら12か月に換算して判定
- 不要な場合:設立1期目、前期が赤字、前期の法人税額が20万円以下、前期が6か月以下の事業年度
- 判定に使う金額:前期の確定申告書の別表一の法人税額(国税の法人税のみ。地方法人税・住民税・事業税は含まない)
条件:前期(前事業年度)の法人税額が20万円を超える。前期が12か月未満なら12か月に換算して判定
中間申告の対象は、前事業年度の確定法人税額を、前事業年度の月数で割って6を掛けた額(前期の法人税の半分)が10万円を超える会社、つまり前期の法人税額が20万円を超える会社です。
前期が12か月未満の場合は、12か月分に換算します。
不要な場合:設立1期目、前期が赤字、前期の法人税額が20万円以下、前期が6か月以下の事業年度
設立1期目には「前期」がないので、中間申告はありません。
前期が赤字で法人税がゼロ、または法人税額が20万円以下なら不要です。
事業年度が6か月以下の会社も対象外です。
判定に使う金額:前期の確定申告書の別表一の法人税額(国税の法人税のみ。地方法人税・住民税・事業税は含まない)
20万円の判定は、前期の別表一で計算した法人税額(所得×税率で出た金額。税額控除後)で行います。
地方法人税、法人住民税、事業税は含めません。
法人税額20万円は、中小法人の税率15%で逆算すると所得約133万円で、ひとり会社でも利益が出れば対象になります。
予定申告と仮決算:2つの方法と選び方
- 予定申告:前期の法人税額×6÷前期の月数(=前期の半分)を納める。計算も申告書も簡単で、税務署から納付額の通知が届く
- 仮決算による中間申告:事業年度開始から6か月を1つの事業年度とみなして決算し、その所得で法人税を計算して納める。確定申告と同じ手間
- 選び方:通常は予定申告。当期の業績が前期より大きく落ちていて、予定申告の額が重いときだけ仮決算(仮決算の額が予定申告の額を超える場合は仮決算を選べない)
予定申告:前期の法人税額×6÷前期の月数(=前期の半分)を納める。計算も申告書も簡単で、税務署から納付額の通知が届く
予定申告は、前期の法人税額の半分を中間納付する方法です。
前期の法人税額が60万円なら、中間納付は30万円です。
税務署から、納付額が印字された予定申告書と納付書(e-Taxの利用者にはメッセージボックスへの通知)が届くので、計算は不要です。
仮決算による中間申告:事業年度開始から6か月を1つの事業年度とみなして決算し、その所得で法人税を計算して納める。確定申告と同じ手間
仮決算は、上半期(事業年度開始から6か月)を1つの事業年度とみなして決算を行い、実際の所得にもとづいて中間の法人税を計算する方法です。
決算整理、決算書、別表の作成が確定申告と同じように必要で、申告書の提出が必須です。
選び方:通常は予定申告。当期の業績が前期より大きく落ちていて、予定申告の額が重いときだけ仮決算(仮決算の額が予定申告の額を超える場合は仮決算を選べない)
ひとり会社は、通常は手間のかからない予定申告を選びます。
当期の上半期が赤字か、前期より利益が大きく減っていて、前期の半分を納めるのが資金繰り上つらいときに、仮決算で納付額を減らします。
仮決算で計算した額が予定申告の額を超える場合は、仮決算は選べません(多く払う方向には使えません)。
期限、みなし申告、納付方法
- 期限:事業年度開始の日から6か月を経過した日から2か月以内(=事業年度開始から8か月目の末日)。3月決算なら11月30日
- みなし申告:予定申告書を出さなくても、期限に提出したものとみなされる。ただし納付は必要で、納付が遅れると延滞税
- 納付方法:e-Taxのダイレクト納付(口座引落し)、届いた納付書で金融機関の窓口、クレジットカード納付
期限:事業年度開始の日から6か月を経過した日から2か月以内(=事業年度開始から8か月目の末日)。3月決算なら11月30日
中間申告の期限は、事業年度の開始から6か月を経過した日から2か月以内です。
4月1日開始(3月決算)の会社なら、10月1日から2か月以内の11月30日です。
9月決算なら5月31日、12月決算なら8月31日です。
みなし申告:予定申告書を出さなくても、期限に提出したものとみなされる。ただし納付は必要で、納付が遅れると延滞税
予定申告は、申告書を期限までに出さなくても、出したものとみなされます(みなし申告)。
申告書の提出を忘れても無申告加算税はかかりませんが、納付は必要で、納付が遅れると延滞税がかかります。
「申告書を出さなくていい」と「納めなくていい」は違うので、納付だけは期限内に済ませます。
納付方法:e-Taxのダイレクト納付(口座引落し)、届いた納付書で金融機関の窓口、クレジットカード納付
納付は、確定申告と同じく、e-Taxからのダイレクト納付(事前に届出をした法人口座から引落し)が最も簡単です。
税務署から届く納付書で金融機関の窓口で払うことも、クレジットカード納付(手数料あり)もできます。
地方税・消費税の中間申告との違い、精算、資金繰り
- 地方税:法人税の中間申告の対象になると、法人住民税(法人税割と均等割の半分)と事業税も中間申告・納付が必要。eLTAXから通知と納付
- 消費税:前期の消費税の年税額(国税分)が48万円超で中間申告。48万円超〜400万円以下は年1回、400万円超〜4,800万円以下は年3回、4,800万円超は年11回
- 精算と備え:中間納付額は確定申告の税額から差し引き、払いすぎは還付。前期の法人税の半分+地方税+消費税を、毎月サブ口座に積み立てる
地方税:法人税の中間申告の対象になると、法人住民税(法人税割と均等割の半分)と事業税も中間申告・納付が必要。eLTAXから通知と納付
法人税の中間申告の対象になると、法人住民税(都道府県民税・市町村民税)と事業税・特別法人事業税も、同じ期限で中間申告と納付が必要です。
予定申告なら、前期の税額の半分(均等割も半分)で、都道府県と市町村から納付書が届くか、eLTAXに通知が来ます。
消費税:前期の消費税の年税額(国税分)が48万円超で中間申告。48万円超〜400万円以下は年1回、400万円超〜4,800万円以下は年3回、4,800万円超は年11回
消費税の中間申告は、法人税とは別の基準で、前期の消費税の年税額(国税分7.8%相当の部分)が48万円を超えると対象です。
年税額が48万円超400万円以下なら年1回(前期の半分)、400万円超4,800万円以下なら年3回(前期の4分の1ずつ)、4,800万円超なら年11回です。
ひとり会社でも、課税売上が数千万円あれば年1回の中間申告が発生します。
精算と備え:中間納付額は確定申告の税額から差し引き、払いすぎは還付。前期の法人税の半分+地方税+消費税を、毎月サブ口座に積み立てる
中間で納めた税額は、確定申告で計算した年税額から差し引きます。
当期の業績が落ちて年税額が中間納付額を下回れば、差額が還付されます。
資金繰りの備えとして、前期の確定申告が終わった時点で「前期の法人税・地方税・消費税の合計の半分」を中間納付の見込み額として計算し、毎月サブ口座に積み立てておきます。
中間申告の一覧(法人税・地方税・消費税)
| 税目 | 対象の条件 | 方法 | 納付額(予定申告) | 期限 |
|---|---|---|---|---|
| 法人税・地方法人税 | 前期の法人税額が20万円超 | 予定申告または仮決算 | 前期の半分 | 事業年度開始から8か月目の末日 |
| 法人住民税 | 法人税の中間申告の対象と連動 | 予定申告または仮決算 | 前期の法人税割と均等割の半分 | 同上 |
| 事業税・特別法人事業税 | 同上 | 予定申告または仮決算 | 前期の半分 | 同上 |
| 消費税・地方消費税 | 前期の消費税年税額(国税分)が48万円超 | 予定申告または仮決算 | 48万円超〜400万円以下:年1回(半分)、400万円超〜4,800万円以下:年3回(4分の1)、4,800万円超:年11回 | 各中間期間の末日から2か月以内 |
| 精算 | — | 確定申告で差引き | 払いすぎは還付 | 確定申告時 |
ユイ急に「予定申告」の納付書が届きました。確定申告はもう済ませたのに、なぜですか?
ケイ前期の法人税が20万円を超えたから。今期の法人税の前払いとして、前期の半分を8か月目の末日までに納める仕組み。確定申告で精算されて、払いすぎなら戻ってくる。
ユイ今期は売上が落ちていて、前期の半分を払うのがきついです。
ケイ上半期を仮決算して、実際の所得で中間の税額を計算する方法がある。手間は確定申告と同じだけど、納付額を減らせる。上半期が赤字なら、法人税の中間納付はゼロになる。
よくある質問
中間申告はどんな会社が対象ですか?
前期の法人税額(国税の法人税のみ)が20万円を超えた会社です。
設立1期目、前期が赤字、20万円以下なら不要です。
いくら納めますか?
予定申告なら、前期の法人税額の半分です。
法人住民税と事業税も前期の半分を納めます。
期限はいつですか?
事業年度開始から8か月目の末日です。
3月決算なら11月30日です。
申告書を出し忘れたら、どうなりますか?
予定申告は出したものとみなされるので、申告書の提出漏れに加算税はかかりません。
ただし納付は必要で、遅れると延滞税がかかります。
業績が落ちているときは?
上半期を仮決算して、実際の所得で中間税額を計算する方法に替えられます。
仮決算の額が予定申告の額を超える場合は選べません。
消費税にも中間申告はありますか?
あります。
前期の消費税の年税額(国税分)が48万円を超えると対象で、額に応じて年1回・3回・11回です。
まとめ:次の一手
法人税の中間申告は、前期の法人税額が20万円を超えると対象になり、事業年度開始から8か月目の末日までに前期の半分を予定申告で納め、法人住民税と事業税も連動し、消費税は48万円超の別基準で発生します。
予定申告は申告書を出さなくてもみなされますが納付は必要で、業績が落ちていれば仮決算で減らせ、中間納付額は確定申告で精算されます。
次の一手は、前期の別表一の法人税額が20万円を超えているかを確認し、超えていれば中間納付の見込み額(前期の法人税・地方税・消費税の半分)を計算して、毎月の積立額を決めることです。
決算と確定申告の期限は、あわせて読みたい記事で確認してください。
