法人設立届出書は、出して終わりではなく、「出した証拠」をあとで求められる書類です。
法人口座の開設や創業融資の申込みで「法人設立届出書の控え」を求められ、控えを取っていなかったことに気づく人が少なくありません。
この記事では、法人設立届出書の控えの取り方を提出方法ごとに説明し、収受印が廃止されたあとの扱い、控えが必要になる場面、なくしたときの対処をまとめます。
根拠は国税庁(申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直し、e-Taxの受信通知、申告書等閲覧サービス、保有個人情報の開示請求)で、2026年10月16日時点の内容を確認しています。
筆者はひとり会社の設立届をe-Taxで出し、受信通知を控えとして口座開設に使いました。
- 控えは自分で用意する。窓口なら提出用と控え用の2部を持参、郵送なら控えと返信用封筒(切手貼付)を同封、e-Taxなら送信後の「受信通知」と送信した届出書のPDFを保存する
- 2025年1月以降、税務署は控えに収受印を押さない。紙で出した控えは「提出した書類の写し」としての位置づけになり、提出日と税務署名の記載があるリーフレットや、e-Taxの受信通知が提出の証明になる。提出の証明を確実に残したいなら、e-Taxで出すのがいちばん簡単
- 控えが要る場面は、法人口座の開設、創業融資、補助金・助成金、許認可の申請。なくした場合は、e-Taxのメッセージボックス(送信から一定期間)、または税務署での申告書等閲覧サービスか保有個人情報の開示請求で確認できる
提出方法ごとの控えの取り方
- 窓口:提出用と控え用の2部を持参し、控え用を返してもらう
- 郵送:提出用、控え用、返信用封筒(宛名を書き切手を貼る)を同封する
- e-Tax:送信後の受信通知と、送信した届出書のPDFを保存する
窓口:提出用と控え用の2部を持参し、控え用を返してもらう
税務署の窓口に出す場合は、届出書を2部(原本と写し)用意し、1部を提出、もう1部を控えとして返してもらいます。
添付する定款の写しなども、控え用に1部多く用意しておくと、「何を添付したか」が残ります。
郵送:提出用、控え用、返信用封筒(宛名を書き切手を貼る)を同封する
郵送の場合は、提出用と控え用の2部に、自分の宛名を書いて切手を貼った返信用封筒を同封します。
返信用封筒がないと、控えは返送されません。
郵送は、通信日付印(消印)の日が提出日になります。
e-Tax:送信後の受信通知と、送信した届出書のPDFを保存する
e-Tax(国税の電子申告・申請システム)で送信すると、メッセージボックスに「受信通知」が届きます。
受信通知には、受付番号、受付日時、提出先の税務署、手続名が記載され、これが提出の証明です。
送信した届出書の内容もPDFで保存できるので、受信通知と一緒に保存しておきます。
収受印の廃止後の扱い
- 2025年1月以降、税務署は申告書や届出書の控えに収受印を押さない
- 窓口では、提出年月日と税務署名を記載したリーフレットなどが渡される(当面の対応)
- 提出の証明が確実に残るのは、e-Taxの受信通知
2025年1月以降、税務署は申告書や届出書の控えに収受印を押さない
国税庁は、2025年1月から、申告書や届出書の控えへの収受日付印の押なつをやめました。
e-Taxの普及と、控えに押印する事務の見直しが理由です。
それ以前は、窓口や郵送で出した控えに収受印が押され、それが「提出した証明」として広く使われていました。
窓口では、提出年月日と税務署名を記載したリーフレットなどが渡される(当面の対応)
収受印の廃止後、窓口で紙の届出書を出すと、希望すれば、提出年月日と提出先の税務署名が記載されたリーフレット(案内文)が渡されます。
これは正式な受付の証明書ではありませんが、「この日に出した」ことの目安として、控えと一緒に保管します。
郵送の場合は、このリーフレットも返送されないことがあるので、消印の記録(特定記録郵便や簡易書留の控え)を残します。
提出の証明が確実に残るのは、e-Taxの受信通知
収受印がなくなった今、提出の事実を第三者に示す最も確実な方法は、e-Taxの受信通知です。
受付番号と日時が税務署のシステムに記録されており、銀行や公庫もこれを控えとして受け付けます。
法人設立届出書はe-Taxで出せるので、控えのためにもe-Taxを使うのがおすすめです。
控えが必要になる場面と、何を出すか
- 法人口座の開設:事業の実態を示す書類として求められることがある
- 創業融資(日本政策金融公庫)、補助金・助成金:設立届と青色申告の承認申請書の控えを求められる
- 出すもの:紙なら控え+リーフレット、e-Taxなら受信通知+届出書のPDF
法人口座の開設:事業の実態を示す書類として求められることがある
銀行によっては、登記事項証明書に加えて、税務署への届出が済んでいることを示す書類として、法人設立届出書の控えを求めます。
設立直後で売上がない会社は、税務署への届出が「事業を始めた証拠」の1つになります。
創業融資(日本政策金融公庫)、補助金・助成金:設立届と青色申告の承認申請書の控えを求められる
日本政策金融公庫の創業融資では、法人設立届出書の控えや、青色申告の承認申請書の控えを求められることがあります。
小規模事業者持続化補助金などの補助金、雇用関係の助成金でも、法人の設立を示す書類として控えが使われます。
出すもの:紙なら控え+リーフレット、e-Taxなら受信通知+届出書のPDF
紙で出した場合は、控え(届出書の写し)と、窓口で渡されたリーフレットを一緒に出します。
e-Taxで出した場合は、受信通知を印刷(またはPDF)し、送信した届出書のPDFを添えます。
受信通知は、e-Taxのメッセージボックスから印刷できます。
控えをなくしたときの対処
- e-Taxで出した場合:メッセージボックスで受信通知を再表示・印刷(保存期間に注意)
- 紙で出した場合:税務署の申告書等閲覧サービスで、提出した書類を閲覧できる(写しの交付はなし)
- 写しが必要な場合:保有個人情報の開示請求で、提出した書類の写しを取得できる(手数料300円、1か月程度)
e-Taxで出した場合:メッセージボックスで受信通知を再表示・印刷(保存期間に注意)
e-Taxのメッセージボックスに届いた受信通知は、一定期間(送信から数年間)保存されているので、ログインして再表示・印刷できます。
保存期間を過ぎると消えるので、送信したらすぐにPDFで保存しておきます。
紙で出した場合:税務署の申告書等閲覧サービスで、提出した書類を閲覧できる(写しの交付はなし)
税務署には、提出した申告書や届出書を本人が閲覧できる「申告書等閲覧サービス」があります。
閲覧とメモ(一定の条件で写真撮影も可)はできますが、写しの交付はされません。
内容を確認したいだけなら、これで足ります。
写しが必要な場合:保有個人情報の開示請求で、提出した書類の写しを取得できる(手数料300円、1か月程度)
提出した書類の写しそのものが必要な場合は、「保有個人情報の開示請求」(個人情報保護法にもとづく手続き)で取得できます。
法人の書類でも、代表者の個人情報を含む範囲で開示されます。手数料は300円で、開示まで1か月程度かかります。
急ぐ場合は、銀行や公庫に事情を説明し、登記事項証明書など他の書類で代えられないかを相談します。
提出方法別の控えと提出証明の比較
| 提出方法 | 控えの取り方 | 提出の証明 | 手間 |
|---|---|---|---|
| 窓口 | 2部持参し1部を返してもらう | リーフレット(提出日と税務署名)。収受印はなし | 税務署へ行く |
| 郵送 | 控えと返信用封筒を同封 | 消印の記録(特定記録・簡易書留の控え)。収受印はなし | 切手と封筒の用意 |
| e-Tax | 受信通知と届出書のPDFを保存 | 受信通知(受付番号・日時・税務署名) | 利用者識別番号の取得が必要 |
ユイ法人設立届出書の控えを求められたのですが、取っていませんでした。
ケイe-Taxで出したなら、メッセージボックスの受信通知を印刷すればいい。紙で出したなら、税務署の閲覧サービスで内容を確認できるし、写しが要るなら保有個人情報の開示請求で取れる。
ユイ窓口で控えに判子を押してもらえると思っていました。
ケイ2025年1月から収受印は押されなくなった。代わりに提出日と税務署名のリーフレットがもらえる。確実な証明が欲しいなら、e-Taxの受信通知がいちばん。
よくある質問
法人設立届出書の控えは、どうやって取りますか?
窓口なら2部持参して1部を返してもらい、郵送なら控えと返信用封筒を同封し、e-Taxなら受信通知と届出書のPDFを保存します。
控えに収受印は押してもらえますか?
2025年1月以降は押されません。
窓口では提出日と税務署名のリーフレットが渡され、e-Taxでは受信通知が提出の証明になります。
控えはどんなときに必要ですか?
法人口座の開設、創業融資、補助金・助成金、許認可の申請で求められることがあります。
e-Taxで出した場合、控えは何を出せばよいですか?
メッセージボックスの受信通知を印刷したものと、送信した届出書のPDFです。
控えをなくしたら、どうしますか?
e-Taxならメッセージボックスで再取得、紙なら税務署の申告書等閲覧サービスで閲覧、写しが必要なら保有個人情報の開示請求で取得します。
青色申告の承認申請書の控えも同じですか?
同じです。
設立届と一緒に出すことが多いので、控えもセットで保存しておきます。
まとめ:次の一手
法人設立届出書の控えは、窓口なら2部持参、郵送なら控えと返信用封筒の同封、e-Taxなら受信通知とPDFの保存で自分で確保します。
収受印は2025年1月に廃止されたので、提出の証明はe-Taxの受信通知が最も確実で、なくした場合は閲覧サービスや開示請求で対応できます。
次の一手は、設立届を出す前に提出方法を決め、e-Taxなら利用者識別番号を取得し、紙なら控え用の2部目と返信用封筒を用意することです。
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