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設立・開業 | 公開 2026.10.16

法人の印鑑は何が必要?実印(代表者印)・銀行印・角印の役割と使い分け、設立登記で印鑑届が任意になった後の実務、サイズと刻印の決まり、電子契約・電子申請との関係、作る本数と費用

法人の印鑑は何が必要?実印(代表者印)・銀行印・角印の役割と使い分け、設立登記で印鑑届が任意になった後の実務、サイズと刻印の決まり、電子契約・電子申請との関係、作る本数と費用

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会社の印鑑というと「実印・銀行印・角印の3本セット」が定番ですが、ひとり会社で本当に必要なのは何本でしょうか。

設立登記の印鑑届が任意になり、電子契約や電子申請が広がった今、印鑑の役割は変わっています。

この記事では、法人の印鑑3種類の役割と使い分け、印鑑届が任意になった後の実務、サイズと刻印の決まり、電子化で不要になる範囲、作る本数と費用、紛失・改印の手続きを説明します。

根拠は法務局(商業登記の印鑑届、印鑑の大きさの要件、印鑑証明書)、商業登記規則、各銀行の法人口座の届出印の案内で、2026年10月16日時点の内容を確認しています。

筆者はひとり会社の設立で印鑑を自分で用意し、印鑑届と印鑑カードの取得を自分で行いました。

記事のポイント
  • ひとり会社に必要なのは、実印(代表者印)1本が最低限。銀行印と角印は「あると便利」で、実印1本で兼ねることもできるが、紛失時の被害を小さくするために実印と銀行印は分けるのが実務の定石
  • オンラインで設立登記をする場合、印鑑届は任意になった(2021年2月〜)。それでも、法人口座の開設、紙の契約書、印鑑証明書が必要な場面(不動産契約・融資)があるので、設立時に実印を作り印鑑届を出しておくのが無難
  • サイズは1cm超3cm以内の正方形に収まるもの(実印の登録要件)。電子契約、e-Tax、e-Govの電子申請では印鑑は不要で、ひとり会社の事務は押印の場面が年々減っている

法人の印鑑3種類の役割と使い分け

法人の印鑑3種類を、実印は法務局に届け出て契約や登記に使う・銀行印は法人口座の届出印・角印は請求書や領収書の社印の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 実印(代表者印・丸印):法務局に届け出た印。契約書、登記申請、印鑑証明書が必要な場面に使う
  • 銀行印:法人口座の届出印。振込や出金の伝票、手形・小切手に使う
  • 角印(社印):会社名だけの四角い印。請求書・見積書・領収書に押す認印の役割

実印(代表者印・丸印):法務局に届け出た印。契約書、登記申請、印鑑証明書が必要な場面に使う

実印は、法務局に印鑑届を出して登録した印鑑で、法人の「本人確認」に使います。

不動産の賃貸借契約、融資の契約、紙で出す登記申請、印鑑証明書を添える場面で押します。

丸い形で、外枠に会社名、内側に「代表社員之印」(合同会社)や「代表取締役印」(株式会社)と彫るのが一般的です。

銀行印:法人口座の届出印。振込や出金の伝票、手形・小切手に使う

銀行印は、法人口座を開くときに銀行に届け出る印鑑です。

窓口での出金や振込の伝票、手形・小切手に押します。ネット銀行では、口座開設時の書類に押すだけで、日常的に使うことはほぼありません。

実印と同じものを届け出ることもできますが、分けるのが実務の定石です。

角印(社印):会社名だけの四角い印。請求書・見積書・領収書に押す認印の役割

角印は、会社名だけを彫った四角い印鑑で、法的な登録はありません。

請求書、見積書、領収書、納品書に「会社が発行した書類」の印として押します。

押さなくても書類は有効で、電子で発行する請求書には印影の画像を入れるか、何も入れないのが普通です。

印鑑届が任意になった後の実務

印鑑届が任意になった後の実務を、オンライン申請なら印鑑届は任意・それでも実印を作る理由は口座と契約と印鑑証明書・印鑑届書と印鑑カードの取得の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 2021年2月から、オンラインで登記申請する場合は印鑑届が任意。紙で申請する場合は必要
  • それでも実印を作る理由:法人口座の開設、紙の契約書、印鑑証明書が要る場面(不動産・融資)
  • 印鑑届書の出し方:設立登記と同時に法務局へ。登記後に印鑑カードを取り、印鑑証明書を請求できる

2021年2月から、オンラインで登記申請する場合は印鑑届が任意。紙で申請する場合は必要

商業登記規則の改正で、2021年2月以降、オンラインで登記申請する会社は印鑑届を出さなくてもよくなりました。

紙で登記申請する場合は、申請書に押す印鑑を届け出る必要があるので、従来どおり印鑑届が必要です。

それでも実印を作る理由:法人口座の開設、紙の契約書、印鑑証明書が要る場面(不動産・融資)

印鑑届を出さないと、法人の印鑑証明書が取れません。

法人口座の開設(銀行により印鑑証明書が必要)、事務所の賃貸借契約、日本政策金融公庫や銀行の融資契約、車の購入など、印鑑証明書を求められる場面は残っています。

設立時に実印を作って印鑑届を出しておくのが、結局は手間が少なくなります。

印鑑届書の出し方:設立登記と同時に法務局へ。登記後に印鑑カードを取り、印鑑証明書を請求できる

印鑑届書は、法務局の様式に、届け出る印鑑を押し、代表者の個人の実印を押して個人の印鑑証明書(3か月以内)を添えて、設立登記と一緒に出します。

登記が完了したら、「印鑑カード交付申請書」で印鑑カードを取り、そのカードで法人の印鑑証明書(1通450円)を窓口や証明書発行機で請求できます。

サイズと刻印の決まり、電子化で不要になる範囲

印鑑の決まりと電子化を、実印は1cm超3cm以内の正方形に収まるサイズ・刻印は会社名と代表社員之印が一般的・電子契約とe-Taxとe-Govでは印鑑不要の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 実印の登録要件:辺が1cmの正方形より大きく、3cmの正方形に収まる。照合に適した鮮明なもの
  • 刻印の一般的な形:外枠に「合同会社○○」、内側に「代表社員之印」。会社名は登記と同じ表記
  • 電子契約・e-Tax・e-Gov:印鑑は不要。電子署名(マイナンバーカード等)や利用者識別番号で本人確認

実印の登録要件:辺が1cmの正方形より大きく、3cmの正方形に収まる。照合に適した鮮明なもの

法務局に届け出る印鑑は、1cmの正方形に収まらず、3cmの正方形からはみ出さない大きさで、照合に適したものと決められています。

一般的な法人実印は直径18mmで、この範囲に収まります。

ゴム印や、摩耗しやすい素材は登録に向きません。

刻印の一般的な形:外枠に「合同会社○○」、内側に「代表社員之印」。会社名は登記と同じ表記

法律上、刻印の内容に決まりはありませんが、外枠に会社名、内側に役職名が一般的です。

会社名は登記した商号と同じ表記(「合同会社」の位置、英字の有無)にします。

印鑑証明書に印影が載るので、取引先が登記と照合できる表記が安心です。

電子契約・e-Tax・e-Gov:印鑑は不要。電子署名(マイナンバーカード等)や利用者識別番号で本人確認

電子契約サービスでの契約は、電子署名やサービス上の本人確認で成立し、印鑑は使いません。

税務署への申告・届出(e-Tax)、社会保険の届出(e-Gov)、地方税(eLTAX)も、利用者識別番号や電子証明書で本人確認するので、押印は不要です。

ひとり会社の事務で印鑑を押す場面は、紙の契約書と銀行の窓口くらいに減っています。

作る本数と費用、1本で兼ねる場合、紛失・改印

印鑑の本数と費用と管理を、最低限は実印1本で銀行印と角印はあると便利・費用は1本数千円から3本セットで1万数千円・紛失は改印届と銀行への届出の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 最低限:実印1本。おすすめ:実印+銀行印の2本。角印は請求書を紙で出す場合に
  • 1本で兼ねるリスク:紛失や盗難で、登記・契約・口座のすべてが危険にさらされる
  • 費用:1本3,000円〜1万円、3本セットで5,000円〜2万円。紛失したら法務局に改印届、銀行に届出印の変更

最低限:実印1本。おすすめ:実印+銀行印の2本。角印は請求書を紙で出す場合に

ひとり会社の最低限は実印1本です。

銀行印を分けておくと、実印を紛失しても口座は守れ、口座の印鑑を紛失しても登記は守れます。

角印は、紙の請求書や領収書に押す習慣があるなら作り、電子で発行するなら不要です。

1本で兼ねるリスク:紛失や盗難で、登記・契約・口座のすべてが危険にさらされる

実印と銀行印を1本で兼ねると、その1本を失ったときに、登記の変更、契約、口座の出金のすべてに悪用の恐れが出ます。

改印と銀行の届出印の変更を同時にする手間もかかります。

費用:1本3,000円〜1万円、3本セットで5,000円〜2万円。紛失したら法務局に改印届、銀行に届出印の変更

印鑑の費用は、素材(柘、黒水牛、チタンなど)で変わり、実印1本で3,000円から1万円程度、3本セットで5,000円から2万円程度です。

実印を紛失したら、新しい印鑑で法務局に「印鑑(改印)届書」を出し(個人の印鑑証明書を添付)、印鑑カードも再交付を受けます。銀行印なら、銀行に届出印の変更を届け出ます。

法人の印鑑3種類の比較

項目 実印(代表者印) 銀行印 角印(社印)
登録先 法務局(印鑑届) 銀行(口座の届出印) なし
形・刻印 丸、会社名+代表社員之印 丸、会社名+銀行之印 四角、会社名(之印)
サイズの決まり 1cm超3cm以内の正方形に収まる 銀行の規定(実印と同程度) なし(21〜24mmが一般的)
使う場面 契約書、登記申請、印鑑証明書が要る場面 出金・振込の伝票、手形・小切手 請求書、見積書、領収書
必要度(ひとり会社) 必要 あると安全 紙の書類を出すなら
電子化での代替 電子署名、電子契約 ネットバンキングのID・暗証 電子請求書(印影不要)
紛失時 法務局に改印届、印鑑カード再交付 銀行に届出印の変更 作り直すだけ
ユイユイ

会社の印鑑って、3本セットで買わないといけないんですか?

ケイケイ

必須なのは実印1本。銀行印を分けておくと、紛失したときの被害が小さくなるから2本がおすすめ。角印は紙の請求書に押すなら作ればいいし、電子で出すなら要らない。

ユイユイ

オンラインで登記すれば印鑑届は要らないと聞きました。

ケイケイ

任意になったのは本当。でも印鑑届を出さないと印鑑証明書が取れなくて、口座開設や事務所の契約、融資で困ることがある。設立時に実印を作って届け出ておくのが結局ラクだよ。

よくある質問

ひとり会社に必要な印鑑は何本ですか?

最低限は実印(代表者印)1本です。

銀行印を分けた2本がおすすめで、角印は紙の請求書や領収書を出す場合に作ります。

設立登記で印鑑届は必要ですか?

オンラインで申請する場合は任意、紙で申請する場合は必要です。

印鑑届を出さないと印鑑証明書が取れないので、出しておくのが無難です。

実印のサイズに決まりはありますか?

1cmの正方形に収まらず、3cmの正方形からはみ出さない大きさです。

直径18mmが一般的です。

実印と銀行印を同じ印鑑にしてもよいですか?

できますが、紛失時に登記・契約・口座のすべてが危険にさらされるので、分けるのが実務の定石です。

電子契約やe-Taxに印鑑は必要ですか?

不要です。

電子署名や利用者識別番号で本人確認するので、押印の場面は紙の契約書と銀行の窓口くらいです。

実印をなくしたら、どうしますか?

新しい印鑑で法務局に改印届を出し(個人の印鑑証明書を添付)、印鑑カードの再交付を受けます。

銀行印なら銀行に届出印の変更を届け出ます。

まとめ:次の一手

ひとり会社の印鑑は、実印1本が最低限で、銀行印を分けた2本が安全、角印は紙の書類を出す場合だけです。

オンライン登記では印鑑届が任意ですが、印鑑証明書が要る場面(口座・契約・融資)のために設立時に実印を作って届け出ておき、電子契約と電子申請で押印の場面は減らしていきます。

次の一手は、登記する商号の表記を確定させ、実印と銀行印の2本を注文して、設立登記と同時に印鑑届書を出す準備をすることです。

設立登記の申請書と印鑑届書の書き方は、あわせて読みたい記事で確認してください。