一人法人の会計ソフトは、「freee・マネーフォワード・弥生のどれか」でほぼ決まります。
ただ、3社とも複数のプランがあり、ひとり会社に必要なのは最安のプランなのか、申告まで自分でやるなら何が足りないのかが、料金ページを見ても分かりにくいです。
この記事では、3社の「ひとり法人向けの最安プラン」を、料金、決算・申告への対応、給与と社会保険、請求書とインボイス、電子帳簿保存法、銀行連携で比較し、自分で申告する人と税理士に頼む人それぞれの選び方をまとめます。
根拠は各社の公式料金ページとヘルプで、2026年10月15日時点の表示を確認しています。料金は税抜で、改定されることがあります。マネーフォワードは2027年6月1日に法人向けの料金改定を予告しています。
筆者はひとり会社の代表として、クラウド会計で記帳から決算・申告まで自分で行っています。
- 一人法人向けの最安プランは、マネーフォワードの「ひとり法人」が年29,760円、弥生会計 Nextの「エントリー」が年34,800円、freee会計の「ひとり法人」が年35,760円(いずれも税抜・年払い、2026年10月時点)
- 決算と法人税の申告まで自分でやるなら、「申告書(別表)を作れるか」が最大の分かれ目。会計ソフト本体ではなく、申告のオプションや別ソフトが必要なことが多い
- 税理士に決算を頼むなら、税理士が使っているソフトに合わせるのが最も手間が少ない。自分で全部やるなら、申告機能・給与計算・請求書の対応範囲で選ぶ
3社の「ひとり法人向け最安プラン」の料金
- マネーフォワード クラウド会計:ひとり法人プラン
- 弥生会計 Next:エントリープラン
- freee会計:ひとり法人プラン
マネーフォワード クラウド会計:ひとり法人プラン
ひとり法人向けのプランで、年払い2,480円/月(年29,760円)、月払い3,980円/月です(税抜)。
会計のほか、請求書、給与計算など、マネーフォワード クラウドの複数のサービスが使えるのが特徴です。
公式の案内では、2027年6月1日の改定後、ひとり法人の年払いは35,760円になる予定です。
弥生会計 Next:エントリープラン
法人向けのクラウド会計「弥生会計 Next」の最安プランで、年34,800円(月あたり2,900円)、月契約は3,480円/月です(税抜)。
会計と請求が中心で、会計機能は3名まで追加料金なしで使えます。経費精算は上位プラン(ベーシック以上)です。
弥生はデスクトップ版の歴史が長く、税理士事務所での利用が多いソフトです。
freee会計:ひとり法人プラン
法人向けの最安プランで、年払い2,980円/月(年35,760円)、月払い3,980円/月です(税抜)。
メンバーは1人で、追加は最大2人までです。経費精算と受発注書類の従量課金がなく、ひとり会社で使う範囲なら追加料金なしで済みます。
上位のスターター(年払い5,480円/月)以上になると、従量課金が加わります。
料金をまとめます(年払い・税抜・1名利用)。
| ソフト | 最安プラン | 年額 | 月払いの場合 |
|---|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド会計 | ひとり法人 | 29,760円(2027年6月以後は35,760円予定) | 3,980円/月 |
| 弥生会計 Next | エントリー | 34,800円 | 3,480円/月 |
| freee会計 | ひとり法人 | 35,760円 | 3,980円/月 |
決算・申告への対応:自分でやるなら、ここが分かれ目
- 決算書までは3社とも作れる
- 法人税の申告書(別表)は、申告機能や別ソフトが必要
- 税理士に頼むなら、税理士のソフトに合わせる
決算書までは3社とも作れる
貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表は、3社の最安プランでも出力できます。
勘定科目内訳明細書も、会計データから作れるものが多いです。
決算整理仕訳(減価償却、未払計上、前払費用)は、固定資産台帳の機能や手入力で対応します。
法人税の申告書(別表)は、申告機能や別ソフトが必要
法人税の申告書(別表一・四・五など)は、会計ソフトの最安プランには含まれないのが一般的です。
freeeには「freee申告」という法人向けの申告サービスがあり、会計データから別表を作ってe-Taxで送信できます(別料金)。
マネーフォワードと弥生は、申告書の作成は税理士に依頼するか、別の申告ソフトを使う前提になっています(弥生は税理士向けの申告ソフトを提供しています)。
自分で申告まで完結させたいなら、「会計ソフト+申告ソフト(またはfreee申告)」の合計費用で比べます。
税理士に頼むなら、税理士のソフトに合わせる
決算と申告を税理士に頼む場合は、税理士が使っているソフトに合わせるのが、データの受け渡しが最も楽です。
税理士事務所は、弥生やマネーフォワード、freeeのいずれかを主に使っていることが多く、契約前に確認します。
税理士がソフトのアカウントを共有して、記帳の確認や決算をそのまま行える形が、費用も手間も少なくなります。
給与・社会保険・請求書・電子帳簿保存法・銀行連携
- 給与計算と社会保険の届出
- 請求書の発行とインボイス対応
- 電子帳簿保存法と銀行・カード連携
給与計算と社会保険の届出
役員報酬の計算(源泉所得税と社会保険料の天引き)、源泉徴収票、年末調整、算定基礎届などの届出書の作成は、給与計算の機能で行います。
マネーフォワードは、ひとり法人プランに給与計算が含まれます。
freeeは「freee人事労務」が別サービスで、最安プランでの対応範囲を確認します。
弥生は「弥生給与 Next」が別サービスです。
役員ひとりなら、給与計算の件数は年12回なので、会計ソフトの給与機能がなくても、国税庁の源泉徴収税額表と協会けんぽの料額表で手計算し、仕訳だけ入れる方法でも運用できます。
請求書の発行とインボイス対応
3社とも、インボイス(適格請求書)の様式に対応した請求書を発行できます。
請求書から売上の仕訳が自動で起票され、入金の消込もできます。
請求書の発行枚数が多い業種は、各プランの発行枚数の上限や従量課金を確認します。
電子帳簿保存法と銀行・カード連携
3社とも、受け取った領収書や請求書のデータをアップロードして保存する機能があり、電子帳簿保存法の電子取引データの保存要件(真実性・可視性)に対応しています。
法人口座とクレジットカードの明細を自動で取り込み、仕訳の候補を提案する連携機能も、3社に共通です。
ネット銀行との連携の安定性は、使う銀行によって違うので、無料期間に自分の口座で試します。
選び方の基準:自分で申告するか、税理士と共有するか
- 基準1:自分で申告するか、税理士に頼むか
- 基準2:給与・請求書を同じソフトでやるか
- 基準3:無料期間で、銀行連携と操作感を試す
基準1:自分で申告するか、税理士に頼むか
自分で法人税の申告まで完結させたいなら、申告機能(freee申告など)や、別の申告ソフトとの連携を含めた合計費用で選びます。
税理士に決算・申告を頼むなら、税理士が使うソフトに合わせます。
この基準で、候補はかなり絞れます。
基準2:給与・請求書を同じソフトでやるか
役員報酬の計算、源泉徴収票、算定基礎届、請求書の発行を、同じソフトでやりたいなら、それらが最安プランに含まれるかを確認します。
別サービスになっていて追加費用がかかる場合は、合計の年額で比べます。
役員ひとりで給与計算の件数が少ないなら、給与機能は必須ではありません。
基準3:無料期間で、銀行連携と操作感を試す
3社とも無料のお試し期間があります。
自分の法人口座とクレジットカードを連携して、明細が正しく取り込まれるか、仕訳の提案が使いやすいかを試します。
操作感の好みは人によって違うので、2社を並行して試して決めるのが確実です。
一人法人向け最安プランの比較表
| 項目 | マネーフォワード ひとり法人 | 弥生会計 Next エントリー | freee会計 ひとり法人 |
|---|---|---|---|
| 年額(税抜・年払い) | 29,760円(2027年6月以後35,760円予定) | 34,800円 | 35,760円 |
| 決算書の作成 | ○ | ○ | ○ |
| 法人税の申告書(別表) | 別途(税理士または申告ソフト) | 別途(税理士または申告ソフト) | freee申告(別料金)で対応 |
| 給与計算 | プランに含まれる | 別サービス(弥生給与 Next) | 別サービス(freee人事労務) |
| 請求書・インボイス | ○ | ○ | ○ |
| 電子帳簿保存法(電子取引) | ○ | ○ | ○ |
| 銀行・カード連携 | ○ | ○ | ○ |
| 利用人数 | 1名向け | 会計3名まで | 1名(最大2名追加) |
各社の最新の料金と機能は、公式サイトで確認してください。
ユイ3社とも似たような値段で、どれを選べばいいか分かりません。
ケイ決め手は「自分で申告するか、税理士に頼むか」。自分でやるなら申告機能を含めた合計費用、税理士に頼むなら税理士が使っているソフトに合わせる。
ユイ安いプランだと、決算ができないんじゃないですか?
ケイ決算書までは最安プランで作れる。足りないのは法人税の申告書(別表)。そこは申告のオプションか別ソフトか、税理士に頼むかを決めておく。
よくある質問
一人法人の会計ソフトは、どれが安いですか?
2026年10月時点の年払い・税抜で、マネーフォワードのひとり法人が29,760円、弥生会計 Nextのエントリーが34,800円、freee会計のひとり法人が35,760円です。
マネーフォワードは2027年6月に改定が予告されています。
最安プランで、法人税の申告まで自分でできますか?
決算書までは作れますが、法人税の申告書(別表)は、申告機能(freee申告など)や別の申告ソフトが必要なことが多いです。
合計費用で比べてください。
税理士に頼む場合は、どのソフトがよいですか?
税理士が使っているソフトに合わせるのが、データの受け渡しが最も楽です。
契約前に確認します。
給与計算は、会計ソフトでできますか?
マネーフォワードはひとり法人プランに含まれ、freeeと弥生は別サービスです。
役員ひとりなら、手計算して仕訳だけ入れる運用も可能です。
無料で試せますか?
3社とも無料のお試し期間があります。
自分の口座を連携して、取り込みと操作感を試してから決めます。
途中で別のソフトに乗り換えられますか?
できますが、期の途中の乗り換えはデータ移行の手間がかかります。
決算が終わって新しい期が始まるタイミングで乗り換えるのが一般的です。
まとめ:次の一手
一人法人向けの会計ソフトは、マネーフォワード(ひとり法人)、弥生会計 Next(エントリー)、freee会計(ひとり法人)の3つが候補で、年額は3万〜3万6,000円前後です。
分かれ目は、自分で法人税の申告まで完結させるか、税理士に頼むかで、前者は申告機能を含めた合計費用、後者は税理士のソフトに合わせて選びます。
次の一手は、2社の無料期間に申し込み、自分の法人口座を連携して取り込みと操作感を比べることです。
自分で決算と申告をやる流れは、あわせて読みたい記事で確認してください。
