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資金・決済・運営 | 公開 2026.10.15

業務委託契約書のひな形と書き方|ひとり会社が外注するとき・受注するときの必須条項、フリーランス法(2024年11月施行)で義務になった明示事項と60日以内の支払

業務委託契約書のひな形と書き方|ひとり会社が外注するとき・受注するときの必須条項、フリーランス法(2024年11月施行)で義務になった明示事項と60日以内の支払

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ひとり会社は、仕事を外注することも、業務委託で仕事を受けることも、両方あります。

どちらの立場でも、口約束で始めてトラブルになるのを防ぐのが「業務委託契約書」です。

さらに、2024年11月からフリーランス法が施行され、個人に発注する側には、取引条件の明示や支払期日の義務が課されるようになりました。

この記事では、業務委託契約書のひな形を条項ごとに解説し、請負と準委任の違い、フリーランス法で発注者に義務づけられたこと、収入印紙、電子契約までまとめます。

根拠は、公正取引委員会・厚生労働省・中小企業庁の「フリーランス・事業者間取引適正化等法」の説明資料とQ&A、民法(請負・委任)、印紙税法で、2026年10月15日時点の内容を確認しています。個別の契約の法的な判断は、弁護士に相談してください。

筆者はひとり会社の代表として、外注と受注の両方で業務委託契約書を自分で作り、取り交わしています。

記事のポイント
  • 業務委託契約書の必須条項は、業務内容、報酬と支払期日、契約期間、納品と検収、知的財産権、秘密保持、再委託、解除、損害賠償、反社排除、合意管轄の11項目。請負(成果物)か準委任(業務の遂行)かを最初に決める
  • 2024年11月1日施行のフリーランス法で、フリーランスに発注する事業者は、業務内容・報酬額・支払期日などを書面かメール等で直ちに明示し、納品から60日以内のできる限り早い日を支払期日にする義務がある。ひとり会社が個人に外注する場合も対象
  • 請負契約書には収入印紙(契約金額により200円〜)が必要だが、電子契約なら不要。準委任契約は原則として印紙不要

業務委託契約の2つの型:請負と準委任

業務委託契約の2つの型を、請負は成果物の完成に対して報酬・準委任は業務の遂行に対して報酬・最初にどちらかを決めるの3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 請負:成果物の完成に対して報酬を払う
  • 準委任:業務の遂行に対して報酬を払う
  • どちらにするかで、条項が変わる

請負:成果物の完成に対して報酬を払う

請負は、サイト制作、デザイン、原稿、プログラムなど、「完成した成果物」を納めることで報酬が発生する契約です(民法第632条)。

成果物に欠陥があれば、受託者は修補や損害賠償の責任(契約不適合責任)を負います。

納品、検収、著作権の帰属の条項が重要になります。

準委任:業務の遂行に対して報酬を払う

準委任は、コンサルティング、事務代行、保守運用、時間単位の作業など、「業務を行うこと」自体に報酬が発生する契約です(民法第656条)。

成果物の完成は約束せず、善良な管理者の注意をもって業務を行う義務(善管注意義務)を負います。

業務の範囲、稼働時間や報告の方法、月額の報酬の条項が重要になります。

どちらにするかで、条項が変わる

契約書の冒頭で、請負か準委任かを明確にします。

「本契約は、民法上の請負契約とする」「本契約は、民法上の準委任契約とする」と書くのが分かりやすい方法です。

実態が雇用(指揮命令を受けて働く)に近いと、業務委託の形をとっていても労働者と判断されることがあるので、仕事の進め方を受託者の裁量に委ねる内容にします。

ひな形:必須の11条項と書き方

業務委託契約書の必須条項を、業務内容と報酬と期間・納品と検収と知的財産権と秘密保持・再委託と解除と損害賠償と反社排除と管轄の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 第1〜3条:業務内容・報酬と支払期日・契約期間
  • 第4〜6条:納品と検収・知的財産権・秘密保持
  • 第7〜11条:再委託・解除・損害賠償・反社排除・合意管轄

第1〜3条:業務内容・報酬と支払期日・契約期間

第1条(業務内容)は、何を、どこまでやるかを具体的に書きます。「Webサイトの制作(トップページおよび下層5ページ、レスポンシブ対応)」のように、範囲が分かる書き方にします。範囲外の作業は別途見積もりとする旨も入れます。

第2条(報酬と支払期日)は、報酬の額(税込か税抜か、消費税の扱い)、請求のタイミング、支払期日(「納品月の翌月末日」ではなく、具体的に特定できる定め方)、振込手数料の負担を書きます。フリーランス法の対象となる発注では、納品から60日以内の日にします。

第3条(契約期間)は、開始日と終了日、更新の有無(自動更新か、合意で更新か)、更新しない場合の予告期間を書きます。

第4〜6条:納品と検収・知的財産権・秘密保持

第4条(納品と検収)は、納品の方法、検収の期間(「納品後○営業日以内に検収し、その間に異議がなければ検収完了とみなす」)、修正の回数や範囲を書きます。

第5条(知的財産権)は、成果物の著作権がいつ誰に移るか(検収完了と報酬の支払いをもって発注者に移転、など)、著作者人格権を行使しないこと、受託者が自分の実績として公開できるかを書きます。

第6条(秘密保持)は、業務で知った相手の情報を第三者に漏らさないこと、契約終了後も一定期間続くことを書きます。

第7〜11条:再委託・解除・損害賠償・反社排除・合意管轄

第7条(再委託)は、受託者が第三者に再委託できるか(発注者の事前の書面の承諾を要する、など)を書きます。

第8条(解除)は、相手が契約に違反したとき、破産などのときに解除できることと、中途解約の予告期間を書きます。フリーランス法では、6か月以上の契約を中途解除する場合、発注者は原則30日前までに予告する義務があります。

第9条(損害賠償)は、契約違反による損害の賠償と、上限(報酬の額を上限とする、など)を書きます。

第10条(反社会的勢力の排除)は、互いに反社会的勢力でないことの表明と、該当した場合の解除です。

第11条(合意管轄)は、紛争になったときの裁判所(自社の所在地の地方裁判所など)を書きます。

条項の一覧を表にまとめます。

条項 書くこと 発注者が注意する点 受託者が注意する点
業務内容 範囲・仕様・範囲外の扱い 範囲を具体的に 無限に広がらないよう範囲外を明記
報酬・支払期日 額・税・請求・支払日・手数料 60日以内の特定の日(フリーランス法) 支払日を具体的に、着手金の有無
契約期間 開始・終了・更新・予告 更新の条件 中途解約時の報酬の扱い
納品・検収 方法・期間・修正 検収期間を確保 修正回数の上限
知的財産権 帰属・移転時期・人格権・実績公開 支払後に移転 実績として公開できるか
秘密保持 範囲・期間 契約終了後も 一般に知られた情報は除外
再委託 可否・承諾 事前承諾制 承諾の取り方
解除 事由・予告 違反時の解除 中途解除時の既発生報酬
損害賠償 範囲・上限 上限の妥当性 報酬額を上限に
反社排除 表明・解除 定型で入れる 同左
合意管轄 裁判所 自社所在地 遠方だと不利

フリーランス法:発注者に義務づけられたこと(2024年11月1日施行)

フリーランス法の発注者の義務を、取引条件を書面かメールで直ちに明示・納品から60日以内の支払期日・1か月以上の契約での禁止行為の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 取引条件の明示義務:書面またはメール等で、直ちに
  • 報酬の支払期日:納品から60日以内の、できる限り早い日
  • 禁止行為と、中途解除の予告

取引条件の明示義務:書面またはメール等で、直ちに

フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス法)は、2024年11月1日に施行されました。

公正取引委員会の資料によると、発注事業者は、フリーランス(従業員を使用しない個人や一人法人)に業務委託をしたら、業務の内容、報酬の額、支払期日、発注者と受託者の名称、業務委託をした日、給付の受領日・場所などを、書面または電磁的方法(メール、チャットなど)で直ちに明示しなければなりません。

口頭での発注は認められません。

この明示義務は、フリーランス同士の取引(ひとり会社がフリーランスに発注する場合)も対象です。契約書を交わせば、それが明示になります。

報酬の支払期日:納品から60日以内の、できる限り早い日

発注者は、成果物を受け取った日から60日以内のできる限り早い日を支払期日として定め、期日内に支払う義務があります。

「翌月10日まで」のような定め方では、具体的な日が特定できないため、支払期日を定めたとは認められません。「納品月の翌月末日」のように特定できる形にします。

支払期日を定めなかった場合は、納品日が支払期日になります。

禁止行為と、中途解除の予告

1か月以上の業務委託では、受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用の強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直しの7つが禁止されています。

6か月以上の契約を中途解除したり更新しなかったりする場合は、原則30日前までの予告と、求められれば理由の開示が必要です。

ひとり会社が個人のデザイナーやライターに外注する場合は、この法律の「発注事業者」に当たるので、契約書に明示事項と60日以内の支払期日を入れておけば、義務を満たしつつトラブルも防げます。

収入印紙・電子契約・取り交わしの実務

業務委託契約書の実務を、請負契約書は収入印紙が必要で電子契約なら不要・準委任は原則不要・取り交わしの手順の3つに分けて図解したインフォグラフィックです。
  • 収入印紙:請負は必要、準委任は原則不要、電子契約は不要
  • 電子契約サービスの使い方
  • 取り交わしの手順と、保存

収入印紙:請負は必要、準委任は原則不要、電子契約は不要

請負契約書は、印紙税法の「請負に関する契約書(第2号文書)」に当たり、契約金額に応じた収入印紙(1万円以上100万円以下で200円、100万円超200万円以下で400円など)を貼ります。

継続的な取引の基本契約書は、第7号文書として4,000円の印紙が必要になることがあります。

準委任契約書は、原則として課税文書ではなく、印紙は不要です。

電子契約(PDFに電子署名)で取り交わした契約書は、紙の「文書」ではないため、印紙税がかかりません。

電子契約サービスの使い方

電子契約サービスを使うと、契約書のPDFをアップロードし、相手にメールで送って、双方が電子署名することで契約が成立します。

印紙が不要になり、郵送の手間もなく、契約書がクラウドに保存されます。

フリーランス法の「電磁的方法による明示」にもなります。

無料プランで月数件まで使えるサービスもあり、ひとり会社なら十分です。

取り交わしの手順と、保存

まず、ひな形を自社用に直し、相手に案を送って内容を確認してもらいます。

修正の合意ができたら、紙なら2部に署名または記名押印して1部ずつ保管、電子契約なら双方が署名します。

契約書は、税務上の帳簿書類として、事業年度終了から7年間(欠損金がある年は10年)保存します。電子契約のデータは、電子帳簿保存法の電子取引データとして保存します。

ユイユイ

デザイナーさんに外注するんですが、メールで「お願いします」だけで始めてもいいですか?

ケイケイ

フリーランス法で、業務内容・報酬・支払期日などを書面かメールで明示する義務がある。契約書を交わせばそれで足りる。支払期日は納品から60日以内の特定の日にしよう。

ユイユイ

契約書に印紙を貼るんですか?

ケイケイ

紙の請負契約書なら、金額に応じて200円から。準委任なら原則不要。電子契約にすれば、請負でも印紙は要らない。

よくある質問

業務委託契約書に、必ず入れる条項は何ですか?

業務内容、報酬と支払期日、契約期間、納品と検収、知的財産権、秘密保持、再委託、解除、損害賠償、反社会的勢力の排除、合意管轄の11項目です。

請負と準委任は、どう違いますか?

請負は成果物の完成に対して報酬を払う契約、準委任は業務の遂行に対して報酬を払う契約です。

契約書の冒頭でどちらかを明示します。

フリーランス法は、ひとり会社にも関係ありますか?

関係あります。

ひとり会社が個人や一人法人に発注する場合は「発注事業者」として、取引条件の明示と60日以内の支払期日などの義務があります。ひとり会社が受注する側なら、保護される側です。

支払期日は、どう定めればよいですか?

納品(給付の受領)から60日以内で、できる限り早い、特定できる日です。

「翌月10日まで」は特定できないため認められず、「納品月の翌月末日」のように定めます。

収入印紙は必要ですか?

紙の請負契約書は、契約金額に応じた印紙が必要です。

準委任契約書は原則不要で、電子契約ならどちらも不要です。

契約書は何年保存しますか?

税務上の帳簿書類として、事業年度終了から7年(欠損金がある年は10年)保存します。

まとめ:次の一手

業務委託契約書は、請負か準委任かを決めたうえで、業務内容、報酬と支払期日、契約期間、納品と検収、知的財産権、秘密保持、再委託、解除、損害賠償、反社排除、合意管轄の11条項を入れます。

2024年11月施行のフリーランス法で、個人に発注するひとり会社には、取引条件の明示と納品から60日以内の支払期日の義務があります。紙の請負契約書には印紙が要り、電子契約なら不要です。

次の一手は、上の条項一覧をもとに、自社が「発注する側」と「受注する側」のひな形を1つずつ作り、電子契約サービスの無料プランに登録することです。

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