会社を作ったら、税務署に出す書類の中で、期限の意味がいちばん重いのが「青色申告の承認申請書」です。
出し忘れると、設立1期目が白色申告になり、赤字を翌期以降に繰り越せません。
設立1期目は赤字になりやすいので、この1枚が数年分の税額に影響します。
この記事では、法人の青色申告承認申請書の書き方を、期限の数え方、記載例、みなし承認、出し忘れた場合の扱い、青色申告のメリットの順に説明します。
根拠は国税庁の「青色申告書の承認の申請(C1-19)」「青色申告の承認申請書の記載要領等」「No.5100 新設法人の届出書類」「No.5762 欠損金の繰越控除」で、2026年10月15日時点の内容を確認しています。
筆者はひとり会社の代表として、設立のときにこの申請書を自分で出し、青色申告で申告しています。
- 法人の青色申告承認申請書の期限は、設立1期目なら「設立の日から3か月を経過した日」と「第1期の事業年度終了の日」のどちらか早い日の前日。4月1日設立なら6月30日
- 申請書に書くのは、会社の情報、青色申告を始める事業年度、帳簿組織の状況(仕訳帳・総勘定元帳・会計ソフト名)、特別な記帳方法の有無など。添付書類はない
- 期限を過ぎると1期目は白色申告になり、赤字の繰越(10年)や30万円未満の資産の即時償却などの特典が使えない。2期目からの適用なら、2期目開始の前日までに出す
提出期限:設立1期目は「3か月以内」か「第1期の末日」の早いほう
- 設立1期目から適用する場合の期限
- 2期目以降から適用する場合の期限
- 設立日ごとの期限の例
設立1期目から適用する場合の期限
国税庁のタックスアンサー(No.5100)によると、設立第1期から青色申告をするには、「設立の日以後3か月を経過した日」と「設立第1期の事業年度終了の日」のうち、いずれか早い日の前日までに申請書を出します。
多くの会社では、設立から3か月以内と覚えておけば足ります。
ただし、設立から第1期の末日までが3か月より短い会社は、第1期の末日の前日が期限になるので注意します。
2期目以降から適用する場合の期限
1期目に間に合わなかった場合、2期目から青色申告をするには、2期目の事業年度開始の日の前日までに出します。
原則は「青色申告をしようとする事業年度開始の日の前日まで」です。
設立日ごとの期限の例
| 設立日 | 事業年度(3月決算) | 3か月を経過した日 | 第1期の末日 | 申請書の期限 |
|---|---|---|---|---|
| 4月1日 | 4月1日〜3月31日 | 7月1日 | 3月31日 | 6月30日 |
| 10月1日 | 10月1日〜3月31日 | 1月1日 | 3月31日 | 12月31日 |
| 2月15日 | 2月15日〜3月31日 | 5月15日 | 3月31日 | 3月30日(第1期末日の前日) |
期限が土日祝日の場合は、翌日が期限です。
申請書の書き方と記載例
- 上段:会社の情報と、青色申告を始める事業年度
- 中段:帳簿組織の状況
- 下段:特別な記帳方法・その他参考事項・税理士署名
上段:会社の情報と、青色申告を始める事業年度
提出日、宛先の税務署名、納税地(本店所在地)、法人名、法人番号、代表者の氏名と住所、事業種目、資本金の額を書きます。
「自 令和○年○月○日 至 令和○年○月○日 事業年度から法人税の申告書を青色申告書によって提出したいので申請します」の欄に、青色申告を始める最初の事業年度を書きます。設立1期目なら、設立日から第1期の末日までです。
「次に該当するときには、それぞれ□にレ印を付すとともに該当の年月日等を記載してください」の欄には、「この申請後、青色申告書を最初に提出しようとする事業年度が設立第一期等に該当する場合には、その設立等の年月日」にレ印を付け、設立年月日を書きます。
中段:帳簿組織の状況
「帳簿組織の状況」には、備え付ける帳簿の名称、形態(会計ソフトか手書きか)、記帳の時期を書きます。
会計ソフトを使うなら、「仕訳帳・総勘定元帳 会計ソフト(名称)によりパソコンで作成 随時」のように書きます。
現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳も、会計ソフトで自動作成されるものを書いておきます。
下段:特別な記帳方法・その他参考事項・税理士署名
「特別な記帳方法の採用の有無」は、伝票会計やパソコン会計を採用しているかの欄で、会計ソフトを使うなら「電子計算機利用」に印を付けます。
「税理士が関与している場合におけるその関与度合」は、自分で申告するなら「関与なし」です。
「その他参考事項」は、特になければ空欄です。
記載例を表にまとめます。
| 欄 | 記載例(4月1日設立・3月決算・会計ソフト利用) |
|---|---|
| 青色申告を始める事業年度 | 自 令和8年4月1日 至 令和9年3月31日 |
| 設立第一期等に該当する場合のその設立等の年月日 | レ印、令和8年4月1日 |
| 帳簿組織の状況 | 仕訳帳・総勘定元帳・現金出納帳・預金出納帳・固定資産台帳、会計ソフト(名称)で作成、随時記帳 |
| 特別な記帳方法の採用の有無 | 電子計算機利用に印 |
| 税理士の関与度合 | 関与なし(自分で申告する場合) |
| 添付書類 | なし |
みなし承認と、出し忘れた場合の扱い
- 承認の通知は来ない(みなし承認)
- 出し忘れると、1期目は白色申告になる
- 2期目からの適用に切り替える
承認の通知は来ない(みなし承認)
申請書を出すと、税務署から「承認」の通知は通常届きません。
国税庁の記載要領によると、青色申告をしようとする事業年度終了の日(設立1期目は、設立の日から3か月を経過した日と第1期末日の早い日)までに承認または却下の通知がなければ、承認されたものとみなされます。
「通知が来ないから不安」という人が多いですが、来ないのが普通です。
出し忘れると、1期目は白色申告になる
期限までに出さなかった場合、設立1期目は白色申告になります。
白色申告でも申告自体はできますが、1期目の赤字を2期目以降に繰り越せません。
設立1期目は、設立費用や初期投資で赤字になりやすいので、この影響は大きいです。
2期目からの適用に切り替える
1期目の期限を過ぎてしまったら、2期目の事業年度開始の日の前日までに申請書を出し、2期目から青色申告にします。
1期目の赤字は繰り越せませんが、2期目以降の特典は使えます。
気づいた時点ですぐに出せば、傷は1期分で済みます。
青色申告のメリット:赤字の繰越と、30万円未満の資産
- 欠損金の繰越控除(10年)
- 30万円未満の資産を一度に経費にできる
- 欠損金の繰戻し還付・各種の特別控除
欠損金の繰越控除(10年)
青色申告をした事業年度の赤字(欠損金)は、翌期以降10年間、黒字と相殺して法人税を減らせます(平成30年4月1日以後に開始した事業年度に生じた欠損金)。
国税庁のタックスアンサー(No.5762)によると、繰越控除を受けるには、欠損が出た年度に青色申告をし、その後も連続して確定申告書を提出し、帳簿書類を保存していることが条件です。
中小法人(資本金1億円以下)は、所得の全額まで欠損金を控除できます。
1期目に100万円の赤字、2期目に150万円の黒字なら、2期目の課税所得は50万円になります。
30万円未満の資産を一度に経費にできる
青色申告の中小法人は、取得価額30万円未満の減価償却資産を、年300万円まで、買った期に全額経費にできます(少額減価償却資産の特例)。
白色申告では、10万円以上の資産は耐用年数で減価償却します。
パソコンや事務机など、ひとり会社でよく買う20万〜30万円の資産で差が出ます。
欠損金の繰戻し還付・各種の特別控除
青色申告の中小法人は、赤字が出た期に、前期に払った法人税の還付を受ける「欠損金の繰戻し還付」も使えます(No.5763)。
このほか、研究開発や賃上げなどの税額控除の多くは、青色申告が条件です。
青色申告にしない理由は、ほぼありません。
ユイ設立届は出したんですが、青色申告の申請書は別なんですか?
ケイ別。法人設立届出書は「会社を作りました」の届出で、青色申告承認申請書は「青色で申告します」の申請。期限は設立から3か月以内で、こっちのほうが重い。
ユイ3か月を過ぎてしまいました。
ケイ1期目は白色申告になる。でも、2期目の開始日の前日までに出せば、2期目から青色にできる。今日中に出しておこう。
よくある質問
法人の青色申告承認申請書の期限はいつですか?
設立1期目から適用するなら、設立の日から3か月を経過した日と、第1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日です。
2期目以降なら、適用する事業年度開始の日の前日です。
添付書類はありますか?
ありません。
申請書1枚で提出できます。
承認の通知は来ますか?
通常は来ません。
期限までに却下の通知がなければ、承認されたものとみなされます。
出し忘れたら、どうなりますか?
1期目は白色申告になり、1期目の赤字を翌期以降に繰り越せません。
2期目の開始日の前日までに出せば、2期目から青色申告にできます。
青色申告のメリットは何ですか?
赤字(欠損金)の10年間の繰越控除、30万円未満の資産の即時償却(年300万円まで)、欠損金の繰戻し還付、各種の税額控除などです。
e-Taxで提出できますか?
できます。
法人設立届出書などと一緒に、e-Taxソフト(WEB版)から送信できます。
まとめ:次の一手
法人の青色申告承認申請書は、設立1期目なら設立から3か月を経過した日と第1期末日の早いほうの前日までに、本店所在地の税務署へ出します。
書くのは会社の情報、青色申告を始める事業年度、帳簿組織の状況、特別な記帳方法の有無で、添付書類はなく、承認の通知は来ません。
出し忘れると1期目が白色申告になり、赤字の繰越や30万円未満の資産の即時償却が使えません。
次の一手は、自分の会社の設立日から「3か月を経過した日」を計算し、法人設立届出書と同じ日に申請書を出すことです。
同時に出す法人設立届出書の書き方は、あわせて読みたい記事で確認してください。
