銀行や信用金庫で法人口座を作るとき、窓口で15〜30分ほどの面談(ヒアリング)があります。
何を聞かれるかを知らずに行くと、「事業内容を具体的に説明できない」「資本金の出どころを答えられない」で、後日改めてになったり断られたりします。
この記事では、法人口座開設の面談で聞かれる質問の例と答え方、持っていく書類、事業内容の説明を1分にまとめる方法、ネット銀行の場合の確認、避けたい答え方を説明します。
根拠は、犯罪収益移転防止法(取引時確認の内容)と、全国銀行協会・各銀行が公開している法人口座開設の案内で、2026年10月16日時点の内容を確認しています。
筆者はひとり会社の口座開設で、信用金庫の窓口で面談を受けました。
- 面談で聞かれるのは、事業内容(何を・誰に・いくらで)、取引先と入出金の見込み、設立の経緯と代表者の経歴、資本金の出どころ、事務所の実態、口座の使い道。犯罪収益移転防止法にもとづく確認なので、具体的に正直に答えるのが最善
- 持っていく書類は、登記事項証明書、法人の印鑑証明書、定款、代表者の本人確認書類、会社の実印と銀行印、事業の実態を示す書類(ホームページ、契約書、請求書、事業計画書、許認可証)
- 事業内容は「○○を、△△向けに、月□万円程度」と1分で言えるように準備する。「まだ決まっていない」「いろいろやる」は実態が見えず断られやすい。ネット銀行は面談の代わりに電話やメールで同じ確認がある
面談で聞かれる質問と答え方(事業と取引)
- 質問1:事業内容は?→「何を、誰に、いくらで」を具体的に
- 質問2:主な取引先と、月の入出金の見込みは?→社名か業種、件数、金額の目安
- 質問3:この口座を何に使いますか?→売上の入金、経費の支払い、役員報酬
質問1:事業内容は?→「何を、誰に、いくらで」を具体的に
いちばん重要な質問です。
「Webサイトの制作を、地域の小売店向けに、1件20万〜50万円で請け負っています」のように、商品やサービス、顧客、単価を具体的に言います。
登記簿の目的欄をそのまま読むのではなく、実際にいま行っている(これから行う)事業を説明します。
質問2:主な取引先と、月の入出金の見込みは?→社名か業種、件数、金額の目安
「取引先は○○株式会社など3社で、月に5〜10件の入金、合計で50万〜100万円程度」のように答えます。
設立直後で取引先が決まっていない場合は、見込み客や、個人事業時代の取引先を挙げます。
質問3:この口座を何に使いますか?→売上の入金、経費の支払い、役員報酬
「売上の入金と、仕入先や外注先への支払い、役員報酬の振込に使います」と答えます。
「海外送金が多い」「現金の入出金が頻繁」は、使い道として正当でも追加の確認が入るので、その理由を説明できるようにしておきます。
面談で聞かれる質問と答え方(設立・代表者・資金)
- 質問4:なぜ会社を作ったのか、代表者の経歴は?→事業の経験と法人化の理由
- 質問5:資本金の出どころは?→自己資金、個人事業の利益、親族からの出資など
- 質問6:事務所の実態、他の銀行口座、反社会的勢力でないことの確認
質問4:なぜ会社を作ったのか、代表者の経歴は?→事業の経験と法人化の理由
「個人事業で3年続けてきて、取引先から法人化を求められたため」「前職で同じ業種を10年経験し、独立した」のように、事業の経験と法人化の理由を言います。
経験のない業種で設立した場合は、どう事業を始めるのか(仕入先、顧客の見込み)を具体的に説明します。
質問5:資本金の出どころは?→自己資金、個人事業の利益、親族からの出資など
「個人事業の利益を貯めた自己資金です」「親からの出資で、贈与税の申告をしています」のように答えます。
マネーロンダリング(犯罪で得たお金を正当なお金に見せかけること)の防止のための確認なので、出どころを正直に言えれば問題ありません。
質問6:事務所の実態、他の銀行口座、反社会的勢力でないことの確認
自宅兼事務所なら「自宅の一室を事務所にしています」、バーチャルオフィスなら「住所はバーチャルオフィスで、作業は自宅です」と答えます。
他の銀行にすでに法人口座があるか、個人の口座はどこにあるかも聞かれます。
反社会的勢力でないことの表明と確約は、書面にサインします。
持っていく書類と、事業内容の説明の準備
- 法定の書類:登記事項証明書、法人の印鑑証明書、定款の写し、代表者の本人確認書類、会社の実印と銀行印
- 事業の実態を示す書類:ホームページ、契約書・発注書、請求書、事業計画書、許認可証、個人事業時代の確定申告書
- 事業内容を1分で:「何を・誰に・いくらで・取引先は・月の売上見込みは」をメモにして持参
法定の書類:登記事項証明書、法人の印鑑証明書、定款の写し、代表者の本人確認書類、会社の実印と銀行印
登記事項証明書と印鑑証明書は発行から3か月以内(銀行により6か月以内)のものです。
定款は、株式会社なら認証済みの写し、合同会社なら作成した定款の写しです。
銀行印は、届出印として登録するので忘れずに持参します。
事業の実態を示す書類:ホームページ、契約書・発注書、請求書、事業計画書、許認可証、個人事業時代の確定申告書
銀行の案内に「必要書類」として書かれていなくても、事業の実態を示す書類を持っていくと、面談がスムーズです。
ホームページは印刷して持参し、契約書や請求書は直近のものを数通、事業計画書は創業融資用のもので構いません。
事業内容を1分で:「何を・誰に・いくらで・取引先は・月の売上見込みは」をメモにして持参
面談の前に、事業内容を1分で説明する文を作り、メモにして持っていきます。
「Webサイトの制作とSEOの支援を、地域の小売店と士業事務所向けに、1件20万〜50万円で行っています。取引先は現在3社で、月の売上は50万〜100万円の見込みです」のように、数字を入れて言えるようにします。
ネット銀行の場合の確認と、面談で避けたい答え方
- ネット銀行:面談の代わりに、申込みフォームの事業内容欄と、電話・メールでの確認
- 避けたい答え方:「まだ決まっていない」「いろいろやる予定」「とりあえず口座だけ」
- 断られたら:理由は教えてもらえないことが多い。実態の書類を増やして別の銀行へ
ネット銀行:面談の代わりに、申込みフォームの事業内容欄と、電話・メールでの確認
ネット銀行は来店がなく、申込みフォームの「事業内容」欄に書いた内容と、アップロードした書類で審査します。
内容が不足していると、電話やメールで追加の質問が来ます。
フォームの事業内容欄には、面談で話すのと同じ「何を・誰に・いくらで」を書きます。
避けたい答え方:「まだ決まっていない」「いろいろやる予定」「とりあえず口座だけ」
事業内容が決まっていない、複数の事業を「いろいろ」と曖昧に言う、口座を先に作って事業はあとで考える、という答え方は、実態がないと判断されます。
事業が複数あるなら、「主にAで、将来Bも」と主従をつけて説明します。
断られたら:理由は教えてもらえないことが多い。実態の書類を増やして別の銀行へ
口座開設を断られた場合、銀行は理由を教えないことがほとんどです。
実態を示す書類を増やして(ホームページを作る、契約書を取り交わす、個人事業時代の実績を整理する)、別の銀行や信用金庫に申し込みます。
面談の質問と答え方の一覧
| 質問 | 答え方の型 | 準備するもの |
|---|---|---|
| 事業内容は? | 何を・誰に・いくらで | ホームページ、商品やサービスの説明 |
| 取引先と入出金の見込みは? | 社名か業種、件数、月の金額 | 契約書、請求書、見込み客のリスト |
| 口座の使い道は? | 売上入金、支払い、役員報酬 | — |
| 設立の経緯と経歴は? | 事業の経験と法人化の理由 | 職歴、個人事業の確定申告書 |
| 資本金の出どころは? | 自己資金、個人事業の利益、出資 | 通帳の写し |
| 事務所の実態は? | 自宅の一室、バーチャルオフィス+自宅 | 賃貸契約書、バーチャルオフィスの契約書 |
| 他の口座は? | 他行の法人口座の有無、個人口座の銀行 | — |
| 反社会的勢力でないか | 書面で表明・確約 | 署名と実印 |
ユイ面談って、何を聞かれるんですか? 緊張します。
ケイ聞かれるのは、事業内容、取引先と入出金の見込み、設立の経緯、資本金の出どころ、事務所の実態。全部、法律にもとづく確認だから、具体的に正直に答えればいい。事業内容は1分で言えるようにメモを作っておこう。
ユイネット銀行なら面談はないんですよね?
ケイ来店はないけど、申込みフォームの事業内容欄と書類で同じ確認がある。足りなければ電話やメールで質問が来る。フォームには面談と同じ「何を・誰に・いくらで」を書けばいい。
よくある質問
法人口座の面談では、何を聞かれますか?
事業内容、取引先と入出金の見込み、口座の使い道、設立の経緯と代表者の経歴、資本金の出どころ、事務所の実態、他の口座の有無、反社会的勢力でないことの確認です。
面談には、何を持っていきますか?
登記事項証明書、法人の印鑑証明書、定款の写し、代表者の本人確認書類、会社の実印と銀行印に加え、ホームページ、契約書、請求書、事業計画書など事業の実態を示す書類です。
事業内容は、どう説明すればよいですか?
「何を、誰に、いくらで」を具体的に、数字を入れて1分で言えるようにします。
設立直後で取引先がない場合は?
見込み客や、個人事業時代の取引先、事業計画書で、これからの取引を具体的に説明します。
ネット銀行にも面談はありますか?
来店の面談はありませんが、申込みフォームの事業内容欄と書類で同じ確認があり、不足があれば電話やメールで質問が来ます。
断られたら、理由は教えてもらえますか?
ほとんどの場合、教えてもらえません。
実態を示す書類を増やして、別の銀行や信用金庫に申し込みます。
まとめ:次の一手
法人口座の面談では、事業内容(何を・誰に・いくらで)、取引先と入出金の見込み、設立の経緯、資本金の出どころ、事務所の実態を聞かれます。
法定の書類に加えて、事業の実態を示す書類を持参し、事業内容を1分で説明できるようメモを作っておけば、設立直後のひとり会社でも開設できます。
次の一手は、事業内容の1分説明を書き出し、ホームページと直近の契約書・請求書を印刷して、面談の予約を取ることです。
断られる理由と対処法は、あわせて読みたい記事で確認してください。
